サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
三越におけるビジネス・システムの革新性 -イノベーションは大阪から-

開催日: 2021年10月28日

○活動の主旨、目的○
企業とは、利潤追求体であり、企業は利益を求めて成長・発展します。そして永続的に発展することにこそ意味があります。
日本企業において、市場で長期に存続した代表的企業に三井越後屋の開業に始まる三越があります。
三井越後屋ではビジネス・システムのイノベーションを起こし、決して保身に走らず、不確実性に果敢に挑戦してきました。さらに注目に値するのが、三井呉服店時代の大阪店のイノベーションです。
これには当時の大阪支店長・高山氏の経営才覚がありました。大阪店のイノベーションを抜きにして、現在の百貨店の全国的ネットワークの形成を説明することは難しいでしょう。
木曜サロンでは、大阪にはイノベーションを起こせる素地が存在していると考える武居氏に、ビジネス・システムの革新性についてお話を伺いしました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

武居 奈緒子 氏
摂南大学 経営学部 教授

愛媛県松山市生まれ。博士(商学)。専門は、マーケティング、イノベーション。神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程単位修得。奈良産業大学、山口大学勤務を経て、現在、摂南大学教授。
谷中の政経塾にて、論題「三井越後屋のマーケティング・イノベーション」で講演経験あり。
2021年3月、実践経営学会名東賞受賞(論考「三井物産の経営戦略と組織―事業部制組織のイノベーション」)。個人的には、チリやアマゾンといった中南米に関心を持っている。

ナレッジドナーインタビュー

  • 現代のイノベーション実現において、三越の成功例から学べることは何でしょうか。
  • 講演では、明治時代の三越において、大阪支店のイノベーションが本店に採用され、全社に広がったという話をしました。現代企業においても、三越の事例のように支店のイノベーションを本店や他支店が取り入れるという動きがあります。支店のイノベーションを実現するためには、支店にも一定の権限を委譲しなければ機能しません。「本店が全てを決定し、支店はそれに従う」というトップダウンの組織構築では成り立たないのです。三越の事例からわかることは、組織においてイノベーションを実現させるには支店や部署に「発言権を持たせる」、「権限委譲をする」、「本店・各支店の情報を共有する」ことが必要であるということです。支店の自由度を高め、本店・支店間で情報共有できる仕組みを構築することは、イノベーションが次から次に起こせる組織構築につながっていきます。三越では、すでに明治時代にこの体制を整備していたということになりますね。
  • これから社会に出てイノベーションをめざす学生たちへアドバイスをお願いします。
  • イノベーションには、クリエイティビティが求められます。クリエイティビティを生み出すためには、日頃からマーケティングのセンスを磨く努力が大切であると考えます。ゼミの学生たちには、美術展に行ったり、最先端の商品を見たり、一流のものに触れる機会を持つように言っています。なぜなら、一流のものを見る目を養うことによって、ものの良し悪しやクオリティを判断できるようになるからです。一流ブランドに触れることで、今後の流行や社会のトレンドを判断する感覚も身についてくると思います。またデパート等買物に行ったら、どんな商品が売れているのか、どこに行列ができているのかを観察したり、そのような現象が生じているのはなぜなのかを考えることも、次なるイノベーションや、学問のブレークスルーにつながってくると考えます。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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