サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- アートと食で伝統と向き合う -魅力ある街づくりのヒントは歴史にあり!-
開催日: 2021年11月25日
○活動の主旨、目的○
「美術や音楽、演劇、食など、文化とは様々なジャンルが交わってできるもの。ルネッサンス期のイタリアや、かつての大阪ミナミにはそれがあり、そんな街づくりができたら」と願う後藤氏。そんな街づくりへの想いの源は、アーティストやデザイナーとしての顔と共に、もう一つ別の顔を合わせもっていることに由来します。
それが大阪ならではの伝統的郷土料理「魚すき(うおすき)」を150年以上の間、提供し続ける『丸萬本家』の9代目当主という顔です。魚すきは、食の素材と出汁のかけ合わせが特徴的で最近では脳の健康にも良いと医学的見地からも紹介されています。
その土地に眠る歴史を紐解くことで魅力ある未来を創造するという、後藤氏ならではの街づくりの考え方について、具体的なアイデアと共にご紹介いただきました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
後藤 英之 氏
株式会社丸萬本家 代表取締役
1962年大阪市生まれ 多摩美術大学大学院研究生修了。絵画・彫刻制作活動、個展企画展多数。
(株)修景芸術研究所を経て2009年後藤英之アトリエ設立。
1996年大阪市芸術文化賞「第13回咲くやこの花賞(美術)」受賞。
2004年大阪クリスタ長堀壁面レリーフにおいて大阪都市環境アメニティ表彰。
2017年、家業である(株)丸萬本家 代表取締役。
1864年創業以来、「魚すき」は大阪の名物郷土料理として、また「丸萬の鯛めし」は、大阪府の大阪産名品の指定を受けている。
ナレッジドナーインタビュー
- アーティストと伝統郷土料理店当主の二足のわらじを履いていらっしゃいますが、どのように気持ちを切り替えて活動されていますか。
- 帝塚山の『丸萬本家』は1階が店舗で、2階をアトリエとして使っています。距離にして僅か1〜2mですが、店舗からアトリエに移動するとスイッチが切り替わるという感じです。調理場や座敷がある店舗では店主として作業着を着て実際に調理もし、一方2階に上ると模型や立体作品や絵があり、Tシャツに着替えて制作をします。階段を上ったり、目に入るものが変わったりと、周りの環境が変化することで、徐々に気持ちが変わっていきます。
- 「うめきた2期」などの再開発が進む「大阪の街」の将来について、どのようにお考えですか。
- 今後の「大阪の街」には非常に期待もしていますが、将来性が有るのか無いのか、開発スピードが加速するのかスローダウンするのかなど、すべてがやり方次第だと思います。大阪といっても、エリアによって場所のイメージや歴史的背景、人の動線など、特徴が全く違います。例えば、阪急電車と南海電車では乗客の雰囲気が違う、堺には和菓子店や茶寮が多く、芦屋・西宮・夙川には洋菓子店やフレンチレストランが多いなど、エリアごとの特徴がありますよね。都市開発は、こうした街の特徴に基づいてすべきだと考えています。また、新しくするところは、街の歴史を踏まえた上で、思い切って一新すれば良いと思います。例えば、パリの再開発では従来の伝統的な凱旋門に加えて、立方体をくり抜いたような斬新な形の白い新凱旋門(グランダルシュ)がラ・デファンス地区にできました。このように、街づくりをする際には「新しいものは思い切り新しく、古いものはそのまま残す」というメリハリが必要だと思います。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。