サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- まるでトイ・ストーリー!?“思わず手に取ってしまう”ロボティクス
開催日: 2022年1月13日
○活動の主旨、目的○
今回は大阪大学の石黒研究室と株式会社サイバーエージェントが共同で研究を進める先端知能システム研究講座の岩本氏より、研究・開発を進める“実店舗を目指す推薦ロボット”についてご紹介いただきました。
近年、店頭でロボットが販促をしている場面をよく見るようになりましたが、これまでのように、ロボットが商品を販促する他者推薦の場合、ロボットの視覚的なインパクトによって人の興味を惹きつけるものの、ロボットに向けられた興味を販促対象の商品に移譲することが難しかったとのこと。
一方、「トイ・ストーリーの世界観を作る」と語る岩本氏が研究・開発に取り組むエージェントロボットは、商品自体がロボットとなり、自己推薦するもので、興味を直接商品に向けられる特徴があり、「商品を手に取って欲しい」「商品の紹介ビデオをみて欲しい」などの商品に関する指示が聞き入れられやすい傾向があるとのこと。
今後マーケティング意外にも様々な分野での活用が期待される“エージェントロボット”の研究・開発についてご紹介いただきました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
岩本 拓也 氏
株式会社サイバーエージェント AI Lab 研究員
大阪大学石黒研究室 招聘研究員
2013年北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 修了。
株式会社サイバーエージェント AI Lab研究員。大阪大学基礎工学研究科 招聘研究員。 ロボットを用いたスマートリテール技術や対面のコミュニケーションを拡張させるインタラクティブ技術の研究に従事。
2019年に「ロボットを使った人間が会話を行わない婚活パーティ」実施。 同年からインタラクティブリテールに関する研究を開始。 CCSE、WISS、HCI研究会、IPSJ-ONE、HAIなどの学会の運営に携わる。
ナレッジドナーインタビュー
- 今後、人間とロボットの関係性はどのように変化するとお考えですか。
- 特に日本は「ドラえもん」に象徴されるようにロボット文化に親しんでいますので、今後ロボットは人間にとってさらにパートナー的な存在になっていくだろうと思っています。それと同時に、コミュニケーションの観点から見ると、人と関係性を作るパートナーロボット以外にも、信頼できる情報を発信する存在としての新たな関係性が出てくるのではと考えています。現在、我々が取り組んでいる広告メディアとしてのロボットの存在が認知される世の中になっていくのではないかと思います。
- この数年の間に大きく進歩すると予想されるロボット技術や分野についてお教えください。
- コンピュータによる画像処理技術を用いて人間の視覚システムの再現を目指す『コンピュータ・ビジョン』の領域が今後伸びてくると思います。基本的にロボットは、複数人を同時に捉えた時、状況を認識することができなければ、ボタンを押すとただ喋るラジカセのような存在になってしまいます。状況に合わせて「あなたはどう思いますか?」「そうなんですね」というように表現をよりリッチにするためには状況認識が必要になりますので、この『コンピュータ・ビジョン』が非常に重要です。そして、もう一つは『自然言語処理』です。毎回同じことを選択的に話すのではなく、人間が日常的に使う曖昧さを持った言葉を理解して対応する技術に注目しています。『コンピュータ・ビジョン』と『自然言語処理』。この二つが今後のロボットの発展に大きく関わってくると思います。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。