サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- ファッション人材の新たな可能性
開催日: 2022年3月10日
○活動の主旨、目的○
情報化社会によって、個人の情報発信の影響力が高まったことで業界の構造が大きく変化したファッション業界。とはいえ、“身にまとう芸術”であるファッションが人生にもたらしてくれる喜びや豊かさがなくなることは決してありません。そもそも芸術作品が産業に落とし込まれていく過程はどのようなものなのか、そして近年どのように構造が変化したのかについて、またトップデザイナーを目指す人材をはじめファッション業界を支える人材を輩出し続けてきた上田安子服飾専門学校が積極的に取り組む、企業と学生とのコラボレーションについて話をお伺いしました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
山田 浩之 氏
上田安子服飾専門学校 副校長
京都市生まれ。専門はファッションデザイン。海外連携推進に努めており、2016年からフランスのトワル・ド・ジュイ美術館で学生と共に展覧会を開催し、フランスのアート・デザインスクールのmanaa_vaureal(マナ・ヴォレアル)・École Duperré Paris(エコール・デュペレ)で日本文化とファッションをテーマに講義を行っている。日本の織物産地との交流も注力しており、播州織(兵庫県)、阿波藍(徳島)、ニット、毛皮(奈良、枚方)、草木染(京都)、北陸繊維産地等、多数の産地と連携している。個人的に約25年前より、ふくらはぎ丈の自作パンツを制作し愛用している。
ナレッジドナーインタビュー
- 今まで企業等と行ったコラボレーションの中で、最も大変だったものについてお聞かせください。
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ファッションクリエイター学科 産学官連携推進室副室長 濵屋但氏:
今まで大変だったという案件は、特にはないのですが、アパレル以外で大阪府警の曽根崎署さまと数年に渡ってコラボレーションをご一緒させていただいております。
学生たちが「交通安全啓蒙グッズ」の提案をする形式で、現在まで自転車用のサドルカバーや反射材を活用したデザインなどをさせていただきました。
学生が提案したデザインは、交通課の方や一般の方々の投票も経て上位のデザインを交通安全週間のイベントにて発表し、交通安全に寄与したとして感謝状をいただいております。
「交通安全」をファッションの視点で提案するデザインに試行錯誤しながらも前向きにチャレンジすることで様々な発想ができるようになっていきますので、とても貴重な勉強の機会をいただいております。 - コラボレーションの際、最初にされることは何でしょうか。
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スタイリングフォト学科 学科長 佐山孝典氏:
先ずは制服など、テーマとなるもののリサーチをします。その際、学生には「調べものをする時にはネットをできるだけ使うな」と言っています。時にはネットも必要ですが、一番大事なことは、現場に行って生の声を聞くことだからです。オフィスや店舗、工場に行って現場の方々にお話を伺うことが、デザインをする上で非常に重要だと考えています。「何かを始めるときはウェブ情報から一旦離れる」ことがポイントです。コラボレーションを行う際には、このような点を大事にして進めています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。