サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
建設MaaS実証の取り組みと今後の展望

開催日: 2022年5月12日

○活動の主旨、目的○
第9回ナレッジイノベーションアワード ナレッジキャピタル部門で優秀賞を受賞した小谷氏と有田氏にお話を伺いました。
建設業で課題とされるヒトとモノの移動・搬送の効率化を図るためMobility as a Serviceの考えや技術(アプリ)を使い、街中で実際に専用車を走らせた実証実験を実施中です。
2021年にはオンデマンドアプリを導入、2022年には貨客混載アプリを開発しています。
「建設MaaS」は、建設現場・自社拠点など複数の乗降ポイントを結んだ乗用車を運行させることで、移動時間のワークプレイス化と貨客混載輸送による生産性の向上・脱炭素の視点で建設業の革新を目指しています。当日は、大阪万博博覧会への展望についてもご紹介しました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

小谷 忠宏 氏
株式会社竹中工務店 大阪本店 技術部

立命館大学を卒業後、2011年に現職の(株)竹中工務店に入社。以降は建築現場の現場監督としてモノづくりの第一線で建築工事を学び、2018年より同社の技術研究所にて2年間研究員として、地盤・基礎構造に関する研究開発を行ってきた。
現在は、大阪本店の技術部にて工事計画及び技術開発を行い、社内ワーキング「新価値創造チーム」にて、「建設MaaS」実証リーダーを務めている。また、2021年にオープンイノベーションを目的としてナレッジキャピタルに設立したオフィスの立ち上げ初期メンバーとしても活動を行っている。

その他:第68回青年技術者(一般社団法人 日本建築協会)、一級建築士、一級施工管理技士
第9回ナレッジイノベーションアワード:ナレッジ部門 優秀賞受賞(建設MaaS)

有田 博 氏
株式会社竹中工務店 大阪本店 設計部

東京芸術大学大学院を修了後、1993年に(株)竹中工務店に入社。1994年より、同社大阪本店設計部にて建築設計業務に従事。オフィスビル、ホテル、教育施設、官庁施設等の設計を担当/統括。
現在、大阪本店の設計部マネージャー。社内ワーキング「新価値創造チーム」、「サステナブル・アクションズ大阪(TeamSAO)」を創設・主宰。他業種企業とも協働し、新たな価値創造活動を行っている。

その他:第5回京都建築賞 入選、第3回京(みやこ)環境配慮建築物 優秀賞
第30回日経ニューオフィス賞 近畿ニューオフィス推進賞、作品選集2017・2019入選

ナレッジドナーインタビュー

  • 「建設MaaS」の開発に携わって、どのようなやりがいを感じられましたか。
  • 小谷氏:私は今まで工事の現場監督をしていましたので、業務は工事現場の「仮囲い」の中がメインでしたが、今回「建設MaaS」の開発に携わる中で「仮囲い」の外側の世界と様々な形で関わることができました。一連の取り組みの中で、様々なステークホルダーと連携しながらプラットフォームの構築や街づくりにソフト面から取り組めるというところに非常にやりがいを感じました。
    現在、大阪・関西万博で「建設MaaS」の実現を視野に入れて活動しています。我々の実証実験が糧となって、万博の建設工事や会期終了後にも利用していただけるようになれば、おそらく大きな達成感を得るだろうと思っています。こうした思いも、やりがいにつながっていると感じます。
  • 「建設MaaS」開発プロジェクトにおいて、苦労されたことがあればお聞かせください。
  • 有田氏:どの開発プロジェクトにも言えることですが、まだ価値が見えない段階で予算を確保するのに一番苦労します。初めに結果が分かっていたり、前例があったりして、価値があることが予め認識されていれば説明しやすいのですが、あくまでも未来の話ですので、価値を証明しながら予算を取ることが非常に難しいと感じます。
    このようなプロジェクトを推進していくためには、困難を突破していくパッションを言葉や絵にして伝え、共感してくれる仲間を社内外に増やしていくことが重要だと考えています。最初に作成する絵は、まだ誰も見たことがない世界が描かれています。未来像を具体的な絵にしてアウトプットすることで、見る人の想像力が膨らみ、我々のやるべきことの像が少しずつ形付けられ、その価値に対する予算が付き、パートナーが集まるというイメージです。こうした体制づくりにも大変苦労しました。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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