サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
まるで人間!? 注意散漫な“よそ見”ロボットを作った理由とは

開催日: 2022年5月26日

○活動の主旨、目的○
「理想的なロボットは、人間との接点では、おっちょこちょいな所があるドラえもん、でも裏ではしっかりもののドラミちゃん」と語るのは、第9回ナレッジイノベーションアワード 近畿経済産業局長賞を受賞された瀬島氏。 日本が力を入れるロボティクスの分野において、現在課題になっているのが、ロボットと人間の信頼関係をいかに構築するかということ。つまりロボットにどのように“人間らしさ”を搭載していくかがカギとなりますが、瀬島氏の研究の目的はまさにそこにあります。 受賞内容をはじめ、瀬島氏がこれまで研究されてきた“うなずき”や“アイコンタクト”など言葉以外のコミュニケーションについて、また最終的な目標である、高性能なロボットの瞳(眼球)を作ることの意義についてお話いただきました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

瀬島 吉裕 氏
関西大学総合情報学部 准教授

1982年、岡山県生まれ。2010年岡山県立大学大学院情報系工学研究科博士後期課程修了。
博士(工学)。
同年、山口大学大学院理工学研究科助教。岡山県立大学情報工学部助教を経て2019年より現職。
専門分野は、ヒューマンロボットインタラクション、ソーシャルロボティクス。
2015年 IEEE RO-MAN2015, KAZUO TANIE AWARD(最優秀賞)等受賞多数。
総務省公認のへんな人「異能β(ベータ)」。

ナレッジドナーインタビュー

  • 研究における瞳孔の反応とピッチの関係についてお聞かせいただけますか。
  • 瞳孔の反応は声量よりもピッチとの関わりが密接で、瞳が大きくなっている時はピッチが高くなっていることは確認できています。人の声の音域は通常、男性が100Hz、女性が200Hz程度ですが、瞳が大きくなっている時はその1.5倍くらいになります。コミュニケーションにおいてピッチが果たす役割は大きく、とりわけ瞳の持つ、いわゆる「目力」はピッチに結びついているのではないかと個人的には思っています。まだ解明された訳ではありませんが、それらが関係し合っている可能性は十分にあると考えています。
  • 海外では目よりも口元でのコミュニケーションを重視する傾向がありますが、そのような海外における観点を研究に取り入れていらっしゃいますか。
  • 実は、この研究は日本よりも海外での評価が高く、「瞳孔コミュニケーションロボット」を国際学会で発表すると非常に注目を集め、2015年には「KAZUO TANIE AWARD」という最優秀研究賞を受賞しました。日本の学会では共感はされても「そうですね」程度の反応であったのに対して、海外で注目された理由は、欧米の方々は目を見てコミュニケーションを取りながらも口元で相手が信頼できるかどうかを判断する文化を持つため、これまで瞳に着目してこなかったからではないかと思います。一方、我々日本人は口元よりも目から情報を得ることが多く、特に最近はマスクの影響もあって余計に瞳の力を信じざるを得ない状況です。この研究は、日本人ならではの発想からアプローチした点が上手くいき、海外での高評価につながったのではないかと考えています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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