サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 各地にある歴史文化遺産を掘り起こす、ヘリテージマネージャーが地域を再発見!
開催日: 2022年6月30日
○活動の主旨、目的○
地域に眠る歴史文化遺産を発見、保存、活用をし、まちづくりに活かす能力を持ったヘリテージマネージャーの活動についてお話し頂いた。阪神大震災をきっかけにヘリテージマネジメントの資格が生まれ、取り壊されていた町の文化遺産を守る活動として注目が集まっている。
実際の活用事例として、北浜の青山ビルや、市民の取り組みの中で残された札幌市外にある旧小熊邸、限界集落だった村を丸ごと宿泊施設として生まれ変わらせた、丹波篠山の集落丸山の取り組みなど、多様な取り組みについてお話し頂いた。現在、信藤氏が力を入れている、京都の京町家「田中家」は現在も田中さんが住みながら保存活動を行い、京都芸大とタッグを組みどのように残していくかについて実践を交え学生と取り組んでおられ、サロン会員様にもアイデアを募集する場面もあった。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
信藤 勇一 氏
株式会社日建設計 CRシニアマネジャー /ヘリテージビジネスラボ ダイレクター
1988年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士修了
1988年 株式会社 日建設計入社
2020年 大阪市立大学大学院都市経営研究科修士修了
日建設計では意匠設計に17年、企画提案業務に3年、CR(営業)13年経験。
定年を見据え、京都市立芸術大学 大学院にて環境デザインを学びながら、建築業界の経験を基に、歴史文化遺産の保存と活用の価値について研究、プロデュースに携わる。
ナレッジドナーインタビュー
- 長年建築業に携わってこられた中で、「ヘリテージマネージャー」を志されたきっかけを教えてください。
- ヘリテージマネージャーは資格ではありませんが、建築との関連が強い分野です。私は古い建物を見て色々と考えることが好きだったので「古い建築物と関わることができる」というイメージで志しました。実際には、それほど単純な訳もなく、幅広い問題と関わっていることに気付き、保存活用の勉強のため後に大阪市立大学の修士課程に入学しました。入学時は既にヘリテージマネージャーになっていましたので、自身の研究テーマをさらに進展させていきました。また、大阪市立大学では学問領域として、ペーパー上での研究をしていました。京都市立芸術大学に移籍をし、歴史ある京町家の活用方法を実践で証明できるようになったため、歴史文化遺産の保存活用というところまで、さらに研究の幅を広げられたのは良かったと思っています。
- ヘリテージマネージャーとしての活動が社会に与える影響はどのようなものでしょうか。
- ヘリテージマネージャーは歴史ある建物を皆さんにもっと知ってもらうために地図を作る作業をよく行います。それだけにとどまらず、各都道府県、地域に根差しその土地で生活している人々との付き合いを通じ、普段から行政のような視点で地域課題に向き合うことができます。これはヘリテージマネージャーとして活動していく中での特権とも言えますが、取り組むべき問題だとも考えています。プロジェクトのメンバーや地域の人々と考え方を共有することで、防災的な観点でも役に立ちますし、ひいては文化財を保護することにもつながります。「地域に浸透する」という意味で、ヘリテージマネージャーという枠をさらに広く捉えていきたいと思いながら活動をしています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。