サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
“室内楽”って? -生活に寄り添うクラシック音楽はいかが?-

開催日: 2022年8月4日

○活動の主旨、目的○
室内楽がどういった物かを理解するために、まずクラシックとは何か?について言及され、大規模なオーケストラ、オーケストラに歌が乗るオペラ、その他にも、独奏・歌曲・合唱・吹奏楽があり、その中に室内楽というジャンルがあると説明された。そもそも室内楽は英語ではChamber Music、本場のドイツではKammermusik と呼ばれており、中世の時代「王侯貴族の部屋」で行われていた音楽で、当初は王侯貴族の「遊戯」の性格があったそうです。
室内楽の代表的な編成として、弦楽四重奏やピアノ三重奏、木管五重奏、金管五重奏があり、2名から多くても8名程度で演奏されるとのこと。
ダニエル・チンという著名なヴァイオリニストが室内楽を次の様に表現しており、「弦楽四重奏をワインに例えると、チェロは全てを支えるボトル。第1ヴァイオリンはぱっと見て直ぐに分かるラベルの様な物で、味わいを左右してくるのは第2ヴァイオリンやヴィオラといった内声の重なりだ」と語っており、4人の演奏家による音の重なり、熟成感を楽しむ音楽 であり、演奏家も聴き手も 経験によって深まっている芸術体験だと説明されていた。その他にもホール自体も重要で、大阪にザ・フェニックスホール・住友生命いずみホール、この2ホールは素晴らしいと話され、ぜひ室内楽に適した良いホールで体験してほしいと締めくくられた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

河井 拓 氏
音楽プロデューサー
大阪国際室内楽コンクール&フェスタ 総合プロデューサー
ピアノ三重奏団「葵トリオ」 マネージャー

早稲田大学卒業。2008年よりサントリーホール企画制作部で勤務。
ホールでは室内楽アカデミーと室内楽音楽祭の創設に参画し、数多くの若手演奏家の育成事業や室内楽公演、コミュニティプログラムに従事する。その後、公共ホール開設事業を経て、2017年より日本室内楽振興財団に招致され、大阪国際室内楽コンクール&フェスタや関西での室内楽公演を運営。2019年からは並行してピアノ三重奏団「葵トリオ」のマネージャーを務めている。
海外の音楽祭や室内楽コンクールにも数多く足を運び、パリ弦楽四重奏ビエンナーレのAUDITION DE QUATUORS INTERNATIONAUXには、Listening committeeとして定期的に招かれている。

ナレッジドナーインタビュー

  • 室内楽と関西の相性ついて、どのように感じられますか。
  • コンサートの集客面では、東京と比べると人口が大きく違いますので、関西で多くの来場者を集めるのは簡単では無いと思います。しかし、室内楽と関西の相性は良いと感じます。
    関西の人は、誰にでも気軽に声をかけるなど、他者との距離感「パーソナルスペース」が狭いですよね。そういう意味では、少人数編成の室内楽は、演奏者と聴衆の距離が近いので、関西人のキャラクターには合うのではないでしょうか。演奏家は舞台の上にいると観客との距離を感じることがありますが、関西の人はそこを一歩踏み込んで近づいて来てくれる気がします。
    演奏家にとって、そのような身近に感じられる人たちと一緒に音楽文化を作っていくのは大切なことだと思います。
  • コロナ禍を経て、室内楽で変わったことはありますか。
  • コロナ禍がもたらしたのは、対面で行うことの良さの再確認です。
    最近ではハイブリッド形式もありますが、当初は演奏会が開催されたとしても配信だけでした。やはりお客さまが目の前にいないと虚しいですよね。演奏家の多くは、お客さまから自分の演奏に対する何らかの反応を受け取っているようで、聴衆のリアクションのある・なしで演奏も違ってくると思います。私も話をする場合、相手が相槌をひとつ打ってくれるだけで話しやすくなります。
    考え方は人それぞれですが、クラシック音楽に関して言うと、私はコロナ禍を通して対面で行うことの大切さを再確認できたと感じています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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