サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- ブランドストーリーは原風景からつくる -幼い頃の記憶がロングセラーブランドをつくる-
開催日: 2022年9月1日
○活動の主旨、目的○
細谷氏は大学時代、文化人類社会学の分野で都市の歴史を研究しており、卒業後はNTTに入社しナガオカケンメイ氏の一番弟子として、キャリアを形成して来られたとのこと。
その後ブランディングコンサルタントとしてのキャリアを積んでいくが、大学時代、NTT時代の経験から本日のテーマである記憶(原風景)とブランディングの関係に着目することとなった経緯をご紹介頂いた。
その後これまで携わった具体例を挙げながら細谷氏のブランディングへの姿勢についてお話頂き、そこから本題である記憶(原風景)とブランディングの関係についてこれまで取り組んできた実験や研究の内容と実例を基に解説頂いた上で、参加者からの質問と、意見に対して応えて頂いた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
細谷 正人 氏
バニスター株式会社 代表取締役 ブランディングディレクター
1976年埼玉県生まれ。法政大学工学部建築学科卒業。早稲田大学大学院経営管理研究科修了。NTT、米国系ブランディング会社を経て、2008年ブランド戦略会社、バニスター設立。企業及び商品ブランドをマーケティングからデザインまで、消費行動分析やネーミング開発、製品パッケージ開発など、一貫させた戦略と戦術によって数多くのブランディング事例を包括的に手掛ける。主要な仕事に、P&G、オロナインH軟膏、オムロンヘルスケア、楽天、ワコール、積水ハウス、星野リゾート、サンスターG・U・M、SOYJOY、OS-1、東京ディズニーシー、SK-Ⅱ、朝日酒造、宝酒造、マウントレーニアカフェラッテ、森永のおいしい牛乳、エビアン、キリンビール、富士ゼロックス、日産自動車、ENEOS、城山観光ホテルなどがある。現在、法政大学大学院デザイン工学研究科 兼任講師。
ナレッジドナーインタビュー
- どのようなご経験から「ブランドは人々の原体験によって支えられている」という理念を持つようになられたのでしょうか。
-
土台となっていることは3つあると思います。一つ目は、自分自身の消費者としての視点です。「なぜ自分は今この商品を選んでいるのか」を改めて考えてみると、その商品は自分の中の何かとつながっていることに気付き、「それはなぜなのだろうか」という問いが出発点となりました。
二つ目は、仕事として数多くの調査を行ってきた経験です。お客さまから昔のお話をお聞きしていると「実は昔の体験と今がつながっていた」ということがよくありました。限られた時間の中では人生すべてをお聞きすることはできませんが、ポイントを絞ってお話を伺うと、その方の過去と現在のつながりのようなものが分かるようになってきたのです。
三つ目は、子どもの頃の体験です。実家は商売をやっていて、幼いながらに店で見聞きして感じたことが影響しているのではないかと思います。来店客が「小さい頃に親に連れられてここに来た」というようなことをおっしゃっているのを聞いて、やはり何かつながりがあって、店に来られているのだと感じました。
こうした経験が、私のブランドに対する考え方の根底にあると思います。 - 一人の消費者として、どんなブランドが素敵だと思われますか。
- 人の人生を変えることができるブランドですね。楽しい時間や幸せな時間を作ったり、ハッピーになれる体験ができたりするブランドは良いと思います。長く親しまれているブランドというのは、消費者一人ひとりの中に、そのブランドに関わる何か幸せな体験があるから、商品が売れ続けているのでしょう。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。