サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
新旧人工知能の共演で目指す未来のかたち

開催日: 2022年10月6日

○活動の主旨、目的○
まずはじめに、ネコを認識するプロセスをもとに、現在のAIの教師あり学習と教師なし学習について、また大量のデータを読み込ませることで学習している点と、人間と同様にAIも物を誤認識したり、また暗黙知のように技能的なものや視覚的なものはうまく説明できないことがあることに触れて頂いた。その後、文書処理、文書生成のAIや言葉から画像を生成するAIをご紹介。その後ディープラーニングの登場以前の言葉を理解して問題を解決することに主眼を置いたAIのご紹介と、瀧氏が考える新旧人工知能の共演によって今後成立しうる、危険予知や仮想空間生成などの実現について解説頂いた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

瀧 寛和 氏
和歌山大学 名誉教授 前学長(第16代)

総合電機メーカーで生産技術、ロボット開発、設計システム開発研究に携わってきた。
第五世代コンピュータの国家プロジェクトで知識獲得研究を実施(この研究で博士の学位取得)。
国立大学の工学系教授で人工知能等の教育研究を行ってきた。大学経営に携わり、学部長、学長(2015.4~2019.3)等歴任。40年間、人工知能の産業応用を行ってきた。
生産技術では、機械、電気、ソフト、設計など様々な技術を駆使して、複数の技術の橋渡しが可能(オープンサイエンス、オープンイノベーション)。現在は、データサイエンスの社会人教育を行っている。

ナレッジドナーインタビュー

  • 人工知能と人間の理想的な関係についてご意見をお聞かせください。
  • 「人間と機械がそれぞれ得意な役割を担う」という関係が理想的だと考えます。例えば、人間はコミュニケーションを取るときに、言葉を話すだけでなく、ジェスチャーや文字、絵などの中から相手に一番通じやすいものを選択して使うことができます。一方、人工知能は多言語を翻訳したり、一度聞いたものを繰り返したり、ゆっくり再生したりすることができますので、機械が得意なところは機械に任せるという活用の仕方が望ましいと思います。
  • これまで演繹法による思考・推論が推奨されてきた日本の教育は、今後どのように変わっていくべきだとお考えですか。
  • わかりやすい例でお話ししますと、日本では算数を教えるときに「2+3はいくつになりますか?」という問い方をしますが、それに対してインドなどでは「『( )+( )=5』となると( )の中には何が入りますか?」と問います。単に足し算をするのではなく、結果から推測して発想する考えることが基本になっているのです。この点が日本の教育にとっての大きな課題だと考えています。 また、日本の学生の多くは答えのない問いに慣れていませんが、どちらが正しいかではなく、何が正しいのか分からないことに対して議論することは非常に大切です。演繹性とは少し違いますが、帰納的に新しい知見を見出したり、失敗を恐れず自分で仮説を作って答えを導き出すということを行なってほしいと思います。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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