サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
ゲームUIの歴史から知る:メタバース、仮想空間における人間の可能性

開催日: 2022年11月24日

○活動の主旨、目的○
小林氏がこれまで携わって来たゲーム業界の変遷について触れ、小林氏が開発に従事してきたゲームセンターのゲーム(アーケードゲーム)から家庭で使用されるコンシューマーゲーム、そして近年はスマートフォン用のゲームが主流となっていることについて、またゲームの開発がいかに“優れたインターフェースデザインの開発への挑戦”であるかということを自身が携わったゲームを事例に解説頂き、ある意味でロジックよりもユーザーの感覚を手玉に取りながら、心地よい体験を提供できるかどうかに苦心しているかであるということをお話頂いた。
さらにゲーム業界だけではないユーザーインターフェースのトレンドの変遷について触れ、そしてゲームの開発にとって重要な身体の感覚と脳の認知の関係について最新の研究の情報をふまえご紹介頂いた。
最後に、今世界ではゲーム開発のノウハウをさまざまな異分野に展開しようと著名なゲーム開発企業が業務提携している情報を紹介しつつ、今後のゲーム開発人材を取り巻く状況についての展望をお話頂いた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

ティキィ小林 氏
学校法人日本教育財団HAL大阪 / HCD-net 関西支部

大手ゲーム会社でBEMANIシリーズという音楽ゲームを中心にUI/UXやアートディレクションの専門家として、20年以上「楽しく新しい体験」を生み出すビデオゲームのデザインに携わる。
現在はHAL大阪にてゲーム業界を目指す学生の指導のかたわら、神戸市西区竹の台地域のデザイン・コンサルティングや、ホテルのインフォメーション・システム、VRアバター制作など、公共性の高いデザインや新しいメディア研究を手掛ける。

ナレッジドナーインタビュー

  • デザインをする上で普段からどのようなことを意識されていますか。
  • 私はデザインが大好きで、色々な新しいデザインの体験をすることを楽しみにしています。デザインというアウトプットのためには、何らかのインプットが必要になります。だからいつも何かデザインに関するものを集めています。以前は、輸入果物に貼ってあるPLUコードというラベルや、ペットボトル飲料のキャップを集めていました。色数やサイズなど制約が多い中でも素晴らしいデザインがあるのです。他にも印刷の特色指示見本用に、気になる印刷物を切り取ってはスクラップブックに集めていました。
    オンラインゲームではイベント専用に作られたゲームUIが、イベント終了の後で二度と見ることができない場合が多くあります。資料性が高い優れた演出のもがけっこうあるため、動画を撮って集めています。
  • メタバースの新しい可能性について、どのようにお考えですか。
  • 壊れてもすぐに元に戻ったり、複数のコピーを簡単に作成できたりと、デジタルでしかできないメリットが多数あります。我々が生きている地球の様々なルール、例えば重力や光などの自然現象を可能な限り同じように再現する。建築現場や宇宙開発など、コストの高い環境をバーチャル空間として再現し大勢でテストを繰り返し行う。こうした「デジタルツイン」はメタバースの重要な役割です。
    私はここで少しだけルールを変えてみるということに興味があります。例えば、SFの話でよくある「重力定数を変えるとどんな世界になるのか?」を可視化することができるかもしれません。今までは作家の頭の中だけに存在していた妄想を、これからはメタバースによって仮想空間で皆が体験できたら面白いですよね。
    なんだか現実から乖離した夢のような話で、すぐに理解するのは難しいかもしれません。私は、メタバースを多くの人が同時に体験する事で、今までとは違った共有体験やコラボレーションが生まれ、今までの研究の延長線上では絶対に思いつかなかったようなアセットが形成される可能性を持つ、というように考えております。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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