サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ：
- 専業主婦から敏腕経営者へ、“母性の経営”の秘密に迫る！
開催日： 2023年2月2日
○活動の主旨、目的○
ご主人が亡くなられ、眼科と塾の経営を引き継ぐことになった藤本氏。これまで専業主婦で経営に関しては素人だったが、働く中で周りの人の助言やスタッフの言葉、また現場が自分を育ててくれたとのこと。
塾の経営について。少子高齢化が更に進むことを見越し、生徒数を追いかけるよりレベルの高いブランド力のある塾をつくろうと考え、高等進学塾を国公立大医学部に特化した塾へシフトチェンジさせたこと、また朝から夕方は浪人生、夜は現役生の授業をするという予備校と現役生の塾をミックスさせた医進予備校MEDiCを設立させたことは成功したものの、バブルがはじけたことで経営が苦しくなることもあった。スタッフの給料とボーナスを下げることも考えたが、ご主人が亡くなる前に考えてくれていた通りの給料とボーナスを出したことで職員のモチベーションが下がることなく会社を続けることができたとお話いただいた。
続いて、友人が作った老人ホームを見て設備などに感動したことをきっかけに社会福祉法人を立ち上げたことについて、介護の仕事は“きつい、きたない、給料が安い3K”のイメージがあり、それを“プラスの5K、きれい、かっこいい、給料が高い、健康になる、感謝される”に変えたいと考え、研修機会を多く持つ、試験の結果に応じた手当の支給、福利厚生の充実、そしてスタッフの負担を軽減するため積極的に介護ロボットを取り入れるなど働きやすい環境を作っている。また、介護において優れていると言われる北欧に目を向け、フィンランドと積極的に海外交流することで介護現場の質の向上にも取り組んでいるとのこと。
最後に、女性には母性があり、その母性は自分より愛する子供のために頑張れるもの。経営者になってからは職員が自分の子供のように思え、そこから職員だけでなく、職員のまわりにいる全ての人の幸せをも考えるようになった。母性は広がっていく。これが自身の経営の根幹、母性の経営であると教えていただいた。
ナレッジドナー（知の提供者）プロフィール
藤本 加代子 氏
社会福祉法人隆生福祉会 理事長 / 関西経済同友会幹事（女性リーダー塾顧問）
大阪薬科大学卒業後、関西医科大学付属病院薬剤部勤務。 医師・藤本隆生氏と結婚し、専業主婦19年間。夫の急逝により事業を引き継ぐ。 CS（顧客満足度）とES（従業員満足度）を経営の両輪にして事業を拡大し、現在、スタッフ750名を超えるフジモトゆめグループの最高経営責任者（CEO）。
社会福祉法人隆生福祉会理事長、医療法人敬生会フジモト眼科会長、株式会社高等進学塾代表取締役、元 大阪府特別職報酬等審議会委員、万博サクヤヒメ会議代表、豊中市経営改革専門委員、一般社団法人生産技術振興協会参与、関西経済同友会幹事などを務める。
ナレッジドナーインタビュー
- 経営をするにあたって、主婦の経験があったからこそできたということはありますか。
-
19年間も主婦をしていたので、仕事をするのはもう無理だと思っていました。確かに最初は苦労しましたが、仕事をしていくうちに色々な場面で主婦の経験が役に立つことが分かってきました。
特に、主婦の立場で培われた「我慢強さ」は経営にとって大きなメリットになると思います。例えば、子どもたちはなかなか思うようにはしてくれませんが、腹が立っても我慢するということを覚えました。仕事では自分の思い通りにいかないことも多く、好意的な人たちばかりではありませんので、非常に辛い思いをしたこともありましたが、主婦での経験から何事に対しても我慢することができました。この「我慢強さ」は経営者として最高の武器だと思います。 - 複数の事業を手掛けるメリットや気づきについて教えてください。
-
眼科、保育園、学習塾、老人ホームという全く違う業種に携わっていますが、私は、どの職場でも同じことを言っているのに気が付きました。「お客様のお役に立つ、お客様に喜んでいただけるように」。
どんな仕事でも経営って同じ…、面白いですね。
塾を始めた時には将来、少子化の影響の懸念がありましたが、子どもの数が減れば高齢者を対象にした事業を行えば良いと考えていました。つまり「ひとつがダメになっても、他のもので生き残れる」ということです。全ての年齢を対象に事業を展開することは、リスク分散ができます。
ひとつの事業をしっかり大きくする方法もありますが、私の場合は夫の後を継ぐ形で複数の事業経営を始めましたので、このスタンスで頑張っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー（知の提供者）」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。
