サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
“認知症の人にやさしい”はビジネスにリンクする?

開催日: 2023年2月16日

○活動の主旨、目的○
朝日新聞厚生文化事業団大阪事務局長に就任し、認知症関連で様々な取り組みをしてきたことで認知症について興味を持ち、認知症と地域コミュニティ、教育やビジネスを結びつけることを目指し、個人事務所を立ち上げた山本氏。日本の認知症の人口や症状について解説いただき、その後イギリスと日本でのこれまでの取り組みについて具体例を交えお話いただいた。
認知症は脳で起こる病気や障害が原因で現れる症状であり病気ではないため、軽度の認知症であれば健康的で活動的。認知症と診断されたからといって急に人生が変わるわけではないし、認知症かどうかでその人を判断するのではなく、今できることを尊重する社会になれば認知症の人も自立した生活を続けていくことができ、それが進行を遅らせる手立てにもなるとのこと。
認知症になっても様々なお店やサービスが存在すればこれまで通り変わらない生活ができれば、孤独対策や社会保障費軽減にもつながるのではないかと思うが、一番は当事者の尊厳が守られていることではないか。認知症=人生の終わりではない。認知症の基礎知識を学び、認知症の顧客取り込んでいくための商品やサービスを開発することをぜひ考えてほしいとお話された。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

山本 雅彦 氏
ワスレナグサ企画室 

1984年朝日新聞社入社。写真部長、徳島総局長などを経て2014年から社会福祉法人・朝日新聞厚生文化事業団大阪事務局長に就任。認知症関連の講演会や国際シンポジウムなどを手がける。2020年にはシンガポールであったADI(国際アルツハイマー病協会)国際会議にゲストスピーカーとして登壇。2022年10月に退職してからは認知症フレンドリーな地域づくりや教育などをテーマにした個人事務所「ワスレナグサ企画室」を設立する。

ナレッジドナーインタビュー

  • 日本の認知症対策は世界に比べて遅れているのですか。
  • 決して日本が遅れているという訳ではありません。日本には戦後ずっと続いてきた固有の福祉政策があり、それを抜本的に変えるのは難しいという状況です。
    一方イギリスは、1942年に社会保障制度に関する報告書「べヴァリッジ報告書」が発表されて戦後のイギリスにおける社会保障制度の土台となり、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」と言われる福祉国家になりましたが、その後この福祉政策が財政を圧迫するようになり、1960年代後半から民間の力を積極的に活用する、大きな方向転換がありました。日本も政府のイニシャティブが問われるところですね。
    認知症に関しては、たまたま知ったイギリスの政策や取り組みが日本にフィットするのではないかと思いました。他の国については知りませんが、イギリスと日本はどちらも島国で国民性や人口規模が似ていて、社会福祉においても呼応するところが多いと思います。
  • 現在の活動に至る経緯をお聞かせください。
  • 元々は朝日新聞社のカメラマンとして世界中を取材して回っていました。その後、朝日新聞厚生文化事業団に異動になりました。特に希望した訳ではなく、たまたま配属されたのです。新しい部署で何をしようかと考えた時、両親が認知症であったこともあり、事業団ではまだ誰もやっていなかったことから認知症に取り組んでみようと思い、始めました。偶然のきっかけが現在の活動につながっています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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