サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
裸眼3Dディスプレイ技術 ~さまざまなコラボレーションの可能性~

開催日: 2023年4月13日

○活動の主旨、目的○
今回の木曜サロンでは、大阪公立大学大学院工学研究科の高橋教授より、高画質・広視野角に対応する大画面裸眼3Dディスプレイの開発についてお話しいただいた。
過去の3Dディスプレイにおける問題点に対して、高橋教授が開発した3Dディスプレイは、眼鏡が不要で、アイトラッキング技術とディプレイに特殊シート貼り付けることで、さまざまな角度から立体映像を見ることができるようになり、高解像度かつ視認性を高めることに成功したとのこと。
今回、参加者に実際に体験出来るようデモ機をお持ち込みいただき、体験した方からは高い品質に感動したとの声が多く聞かれた。
また高橋教授は、この裸眼3Dディスプレイを実際に医療現場や教育現場で活用されている例を挙げ、医師は手術前に3D映像を見ることで、より正確に手術を行うことができ、医療の教育現場においても、より深い理解ができるので有用だと語られた。
今後の課題として、複数人で同時に視聴できるようにするための研究や、コンテンツ開発に力を入れていきたいと語られサロン会員の皆様とのコラボレーションにも期待したいと締めくくられた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

高橋 秀也 氏
大阪公立大学 大学院工学研究科 電気電子系専攻 教授
工学部 電気電子システム工学科

大阪市立大学大学院工学研究科修了、博士(工学)。これまで、3Dディスプレイ(パララックスバリア方式、電子ホログラフィ、ライトフィールドディスプレイ)、網膜投影ディスプレイ(ロービジョン支援用、健常者用)、およびスマートテキスタイル(次世代消防服、生体情報センシング)の研究・開発に従事。2023年4月に、研究成果である3Dディスプレイのベンチャー企業「株式会社RealImage」を設立し、3Dディスプレイの社会実装に取り組んでいる。

ナレッジドナーインタビュー

  • 裸眼3Dディスプレイ技術が医療や産業の現場で実装されると、社会はどのように変わると思われますか。
  • それほど大それたことを思い描いている訳ではないですが、本来「3Dで見なければならないもの」がありますよね。例えば、手術や機械の遠隔操作、航空管制などでは、現状は2Dスクリーンを使用していますが、本来は3Dであるべきだと思います。逆に、家庭用のテレビに3Dが必要であるかというと、そうは思いません。
    つまり、本来3Dが必須であるところに使用することで、裸眼3Dディスプレイ技術は社会的に有用になると考えています。
    教育現場では、教科書のデジタル化に伴い、理科や地理、数学の授業で、実際に空間図形などを立体的に見ることができれば、生徒の理解が早くなると思います。また、飛行機や車のシミュレータも非常にリアルになってきていますので、そのような操縦・運転に裸眼3Dディスプレイ技術活用すると、より精密に動かせるようになります。
  • エンターテインメントの分野において、技術の進歩によるデジタルとリアルのバランスについてどのようにお考えですか。
  • まさにARやXRの話ですね。例えば「机の上に物体が乗っている」とすると、果たしてその物体はVRになるのか。バランスという点では「すべてをVRでやってしまう」「すべてが実物」ということではなく、両方が混在したものを作り出すことが最終的に目指すべきところではないかと思います。デジタルとリアルの区別がつかないような合成が理想です。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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