サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- コミュニケーションのツボ -話しやすいロボットの開発-
開催日: 2023年5月25日
○活動の主旨、目的○
人間のコミュニケーションのサポートをするロボットの研究をする吉川氏。今回は話しやすいロボットを作るための工夫と、またそれが対話の支援や学びの支援にどうつながるのかを教えていただいた。
1対1だと対話継続が難しい場合、非1対1であれば話題の展開に寛容になり、発話責任からも解放され発話しやすくなる。そのことから1対1の環境を崩すためにロボットを取り入れることは効果的とのこと。
動きのあるロボットをアバターとして使うと、そのロボットを介することで直接の人間関係や普段の自分を忘れられ、プレッシャーが緩和されて話しやすくなることから、自閉症の方などに対する対話トレーニングの研究を進めている。
また、アバターを自分の体として感じることができれば学びを起こせるのではないかという考えから、気楽に発言できたり意見に参加することができる協調操作型ロボットの研究もされており、これが授業などで活用できるようになれば学びの支援につながるとのこと。
人型ロボットを活用することで、様々な形で人間のコミュニケーションを”話しやすい”に変えられるのではないかとお話された。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
吉川 雄一郎 氏
大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 准教授
2005年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了、ATR知能ロボティクス研究所研究員
2006年JST ERATO 浅田共創知能システムプロジェクト研究員
2010年8月大阪大学大学院基礎工学研究科講師
2013年4月同准教授.博士(工学)
日本ロボット学会,日本認知科学会,日本児童青年精神医学会等の会員。
人と関わるロボットの研究(特に複数の対話ロボット、自閉症スペクトラム障害の療育への応用)、認知発達ロボティクスなどの研究に従事。
ナレッジドナーインタビュー
- 現在、研究開発されている「話しやすいロボット」の内容を、今後、出版されるご予定はありますか。
- 今のところ出版の予定はありません。出版準備の時間は取れそうにないのですが、「話しやすいロボット」の研究内容を早くまとめて、このような考えを広く知っていただきたいとは思っています。
- 今回、日本人学生を被験者としたコミュニケーション実験についてお話しいただきましたが、民族や文化の違いは実験結果に影響するでしょうか。
-
日本人学生を対象に行った「3種類の質問方法を用意して、講義に参加してもらう」実験では、「他の人の質問に賛同を示す形での質問方法」の選択が一番多いという結果になりました。
人とロボットの関わりにおける「文化差」を明らかにしていくことは、私の研究にとってもひとつの大きなミッションであると考えています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。