サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
AI利活用の落とし穴とその対策 -リスクを把握しながら事業を進めるには-

開催日: 2023年9月14日

○活動の主旨、目的○
AIは開発過程と利用過程の2つに大きく分けられ、生成AIについては利用過程がプロンプトへの入力段階・出力段階に分けられる。 現在日本では主に開発段階の著作権について議論されることが多いが、将来的にはヨーロッパで先行して議論されている出力段階の問題についても議論されることになる。
AdobeやMicrosoftなどが提供している有料プランは現状考えられるリスクを最小化することができる。誰か1人でもよいので、論点を理解して適切なプランを選ぶ必要がある。
これらのことを抑えていれば生成AIを比較的安全に使うことができるとお話された。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

渡邊 満久 氏
principledrive株式会社 代表取締役、principledrive法律事務所 弁護士

2013年都内法律事務所で業務開始し、主に企業の紛争解決や裁判業務、倒産・M&A・労働等をはじめとする企業法務全般を取り扱う。近時は個人データに限らずデータ全般を利用したビジネス・プロジェクト組成、AI利用に係る法的問題点の解決、クロスボーダーでのデータ利活用等について、課題解決に取り組む。2023年principledrive株式会社/法律事務所を設立。 

田中 陽介 氏
principledrive株式会社 取締役

2006年外資系企業知財部で勤務開始し、主に通信・エレクトロニクス分野の特許を取り扱う。2010年より東南アジア・南アジアを拠点として多国籍企業のアジア新興国での知財権利化、権利行使を支援。近時はクロスボーダーでのデータ利活用に加え、通信関連規制、AIやOSSの利用など、技術と法律の両面からの理解が必要な様々なプロジェクトにおける課題解決に取り組む。2023年principledrive株式会社を設立。 

ナレッジドナーインタビュー

  • 今後、AIを利用したサービスが日本で広く活用されるためには、どのような課題がありますか?
  • 渡邊氏: 1つ目の課題はリスク管理です。日本の企業は、リスクがあるとすぐに止めてしまう傾向があります。しかし、重要なのはリスクがある場合でも続けることで、そのリスクをどのようにコントロールするかです。そのため、まずは止めないことが大切です。2つ目はルール作りです。ルール作りとその運用は難しい課題ではありますが、他社に先んじたいのであれば、誰かに作ってもらうのを待つのではなく、自ら作ってリードしていく必要があります。3つ目は作ったルールのアップデートです。これは日本特有の傾向かもしれませんが、一度制定したルールをそのまま使い続けることが多いように感じます。ルールを運用する際には、定期的なモニタリングを行い、時代に合わせて更新する必要があります。

    田中氏: 使ってはいけない、絶対に使うというように、白黒はっきりさせるのではなく、用途に応じて考える必要があります。例えば、ChatGPTの無料版を友達に相談する感覚で使用する場合、機密情報が漏洩する危険性は低いですよね。もちろんビジネス利用の場合は異なりますが、その際にも自社の場合はどうか、と解像度を上げて細分化しながら検討することが重要だと思います。
  • 人間とAIは今後、社会の中でどのような関係性を築いていくとお考えですか?
  • 田中氏: ChatGPTの登場により、話しかけるとチャットが返ってくる対話型ということで、人々から様々な情報を引き出せるようになりました。今後はより人間とAIのコラボレーションが活発になり、人間社会に溶け込んでいくのではないでしょうか。実際、朝起きて「おはよう」と入力する人もいるようですので、馴染みやすくなっていると思います。また、飲食店での配膳ロボットの導入が進んでおり、不思議と「猫型ロボットがお皿を持ってきてくれたわ」と優しい気持ちになったりするんですよね。人間にとってもより生きやすくなるといいなと思います。

    渡邊氏: 田中さんの言うとおりなのでもう少し大きな話をすると、特に日本の場合、今後は生産年齢人口が減少していきます。この状況で国の生産力を維持するためには、AIを使わざるを得ません。単純な作業はAIやロボットに任せて、人間にしかできない仕事を見つけて行うことによって、人間の業務の生産性を向上させ、それに伴い報酬水準も上がってくるのではないかと考えています。一方で、その変化に適応できない人々も現れるでしょう。そのため、社会全体でどのようにサポートするか、ということも取り組まなければなりません。いずれにせよ資金が必要になるので、現在の日本の経済力ではまずい、と感じています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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