サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ：
- 魅力溢れる街づくりの実現 ～センシングから日常を見つめて考える～
開催日： 2024年1月25日
○活動の主旨、目的○
今週の木曜サロンは、センシングを活用した誰もが住みやすい街づくりをテーマにお話しただきました。
小山氏は、これまで動画解析やセンシング技術を駆使し、居住者のペルソナ設定や導線解析、環境予測を行い、そのデータを企画提案や空間プロデュースに取り入れ、魅力的な街づくりに関わってきた。
街づくりに限らず、世界中のオフィスのレイアウトから商業施設のマーケティング、駅や公園などの公共空間に至るまで、様々なプロジェクトでセンシングを活用した取り込みを行っている。
街の再開発などのプロセスでは、人流や車の流れなどもセンサーを使い、そこで生活する人々が場所をどのように利用しているか、どのエリアが未利用であるかを可視化し、このデータをもとに開発を進め、事業者とそこに住む人が互いに満足できる街づくりに貢献してきました。
今後も、町と企業、企業と人との接続点を探しプロジェクトを作り、そこに暮らす人々が街づくりに参画できる未来に期待したいと締めくくられた。
ナレッジドナー（知の提供者）プロフィール
小山 ひろみ 氏
株式会社TSU-GUMY代表
人と街を喜ばせるをテーマに、生活者視点からの企画・コンセプトワーク・プロデュースを手がける。
人と街、人と企業、企業と街の関わり方を、センシング技術を用いて人々の営みを見つめ、可視化し、求められているものや必要なものをプロデュースする。
ナレッジドナーインタビュー
- 街づくりに関する事業をしていく中で目にした魅了的な街や、事業の参考にしている場所はありますか？
- デンマークのコペンハーゲンにある「Superkilen park（スーパーキーレンパーク）』という公園です。この公園はデンマークの建築設計事務所Bjarke Ingels Group（通称：BIG）、アーティスト集団のSUPERFLEX、ベルリンのランドスケープデザイン事務所Topotek1が協働設計して造った公園です。コペンハーゲンのアブロ地区はもともと多様な人種が住む地域で、この地区では生活習慣の違いから周辺住民の間で争いごとや、子ども達の間に喧嘩が起こっていました。誰かが間違っているわけではなく、それぞれの正しい遊び方があるが故にトラブルの元になっていたのです。そこで、市（＝コペンハーゲン）のプロジェクトを受けた協働設計チームが多様性を持たせた公園に創り直しました。例えば、ボクシングやムエタイのできるリングを公園の中に置くとタイ人の子どもは当たり前に遊びますよね。それを見た異文化の子どもたちが、「どうやって遊ぶの？」と声をかけることでコミュニティが生まれるきっかけになる。そういった仕組みを公園の中にたくさん取り込み、本日お話ししたようなコンテンツをどう採り入れてどんな交流を生むのか、仕組みがとてもうまく働いている公園なのです。
- 今後の展望についてお聞かせください。
- クライアントのプロジェクトに込められた想いやビジョンを実現させるためのサポートはこれからも全力で行っていこうと思っておりますが、自社の取り組みとしては「公園を細かく見ていくプロジェクト」を進めていこうと考えています。理由は、本日の講演でも「“人と街“となると遠いですよね」という話題が出たかと思いますが、公共の場所では公園が人と繋がりが近い場所だと思っているからです。今、世の中の流れでPark-PFI（公募設置管理制度）というものが注目されています。従来は行政が公園の維持管理を行い、いわゆる昭和の三種の神器のように『ブランコ・滑り台・砂場』がどの公園でもよく見られる光景でしたが、例えば子供のいるファミリー層よりも高齢者が多い地域ではそういった遊具は必要ないですよね。今は公園にも地域特性に応じた個性を持たせようという流れになってきています。財政状況の厳しい行政組織としても、維持管理に費用が掛かる部分は民間に運営してもらいたいといった背景もあります。最近ではスターバックスなどのカフェが入っている公園をよく見かけるかと思いますが、あれが正に民間に運営をお願いすることで公園を活性化してもらうモデルケースです。弊社はこういった場を考える時に、そもそもこのエリアにはどのような人々がいるのか、その人々にどう利用されていて何が求められているのか、人々が滞留して楽しく過ごすためにはどのような工夫をする必要があるのかといった、そのエリアに最適な公園を考え分析しクリアにしていく部分を担っていきたいと考えています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー（知の提供者）」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。
