サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 歌唱力アップする秘訣教えます!-予防医学にも応用される声の科学に基づくYUBAメソッドとは!?-
開催日: 2024年2月8日
○活動の主旨、目的○
真似をするだけで「広い音域を歌う」「音の強弱を変えて歌う」「正しい音程で歌う」「一息で長く歌う」「活舌よく明瞭な発音で歌う」「喜怒哀楽、様々な音色で歌う」この6つの発声能力を身に着けることができるYUBAメソッド。これは、輪状甲状筋という声帯を伸ばす筋肉(=歌う筋肉)を鍛えるトレーニング法で、歌う筋肉がうまく使えるようになると歌声だけでなく話す声も改善できる。
また、トレーニングを一定期間続けることで嚥下や認知症患者の症状改善も期待できるため、将来的には人工知能を利用してオーダーメイド化し、その人の症状に合ったトレーニング方法を提供できるようにしたいとお話された。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
弓場 徹 氏
学校法人清風学園 YUBAメソッド研究・研修センター センター長・顧問
三重大学名誉教授
三重大学名誉教授、YUBA メソッド研究・研修センター清風学園センター長
同学園顧問、発声研究家、声楽家(テノール)
2001 コロンビア大学 客員教授
2002~2008 東京大学医学部・2015~2020 理化学研究所 客員研究員
北海道置戸町出身。清風高等学校、東京藝術大学卒業
海外でのコンサートや講演を多数行い、NYでの演奏を『ウェスト サイダー』誌は“一級の歌唱”と評した。
本メソッドは、国内外で多数のメディアで紹介、多くの教育現場や医療機関に導入される。
ナレッジドナーインタビュー
- 音痴矯正の研究を始められたきっかけについてお聞かせください。
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喉を楽器として使うようにする「声楽発声」、つまり歌が上手くなるための研究を行っていましたが、それでは予算が得られず経済的に限界が来ていました。代わりに歌えない人を歌わせる「音痴矯正」の研究に切り替え科研費(科学研究費補助金)を申請したところ、2年間の研究続行が可能となりました。実は、「音痴矯正」と「声楽発声」は、歌唱に向けて喉を合理的に使うという意味で、同じ線上にありました。つまり、苦肉の策の結果というわけです。
1992年に名古屋で開催された「音痴」をテーマにした国際シンポジウムが行われ、これを機に「音痴」の問題が大きく認識されるようになりましたが、その解決策は示されませんでした。そこで科研費を申請すればうまくいくのではないかと考え、「音痴矯正」の研究をするに至ったわけです。
子どもの頃から歌うことが大好きで、いつも歌っていました。ですが、好きだった歌が仕事になると、楽しいだけではすまされなくなります。一時期、歌から離れたくなったこともありました。それでも、偶然にも自分の声の問題をきっかけに声に関する研究を始めることができ、それが医学の分野につながりました。その結果、ずっと研究を続けることができ、今も興味を持ち続けています。このことから、私の人生の選択は間違っていなかったと感じています。 - YUBAメソッドと従来の音声学で考え方が異なる例はありますか?
- 滑舌改善はその一つです。所属している音声言語医学会でもYUBA理論・メソッドの講演をしてはいるのですが、それでもなお良い発声のためには口をはっきりと動かした方がいいと固く信じていることが多いですね。本日お見せする機会はありませんでしたが、人の声門に空気を当てると、声帯が振動し「ピー」という音しか鳴りません。この喉頭原音だと何の母音かは分かりません。そのため、言葉にするには調音筋(顎・下・顔面などを動かす筋肉)をはっきりと動かして原音を加工する必要があると思い込んでいるのが現状だと思います。YUBA理論(新発声理論)はそのような今までの音声学の考え方とは違い、調音筋肉の誇張した動きは、音源に影響するという双方向の理論を唱えています。音源を不安定にしないために、腹話術発声にして音源を安定させた上で、必要な調音筋の動きを加えるという考え方です。従来の一方向の理論に対して、こちらは最初から相互作用としてそれぞれがどう影響するのかを計算して考えているので、私の立場は従来の音声学ロジックとは異なります。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。