サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 17世紀パリのランブイエ邸におけるサロン文化を彩った空間作りとは
開催日: 2024年3月21日
○活動の主旨、目的○
幼少期をイタリアで過ごし12歳で結婚したランブイエ侯爵夫人は、病弱であることを理由に19歳で社交界を退出。その後、家に人を招き文化的な会話をする"サロン"を開いた。父親から引き継ぎ、自ら図面を引いて革新的な改築をした邸宅に人を招いたことで、このサロンは大きな話題となり、貴婦人の間で流行。後にサロン文化が発達し、フランスのインテリア・文学・文芸の発展へとつながった。
フランスにおけるサロンとは、自分らしさを出した、お客様を迎えられて自分たちも寛げる場所で、会話を楽しむ空間のこと。それは現在も受け継がれている。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
片山 勢津子 氏
京都女子大学 名誉教授
京都工芸繊維大学工芸学部住環境学科卒業後、(株)大林組本店建築設計部勤務ののち、京都工芸繊維大学助手(室内計画学講座)、京都造形短期大学(現 京都芸術大学)非常勤講師、京都女子大学短期大学部講師、助教授、家政学部准教授、大学院教授を務める。専門はインテリア史、インテリア計画。一級建築士、インテリアプランナー、博士(学術)、日本インテリア学会副会長
ナレッジドナーインタビュー
- サロン文化について研究されている片山様から見た、ナレッジサロンの所感をお聞かせください。
- ナレッジキャピタルについては開業前に存在を知り、木曜サロンにも参加してみたいなと思っていました。その後なかなか参加できないまま昨年ナレッジロンに入会し、こうしてナレッジドナーとして話題を提供する側になってしまいました。私はインテリアが専門なので、サロン内にあるヤコブセンやイームズの家具をいつも楽しく使わせていただいています。私も存在を知らなかったパルプで作られたフィリップ・スタルクの椅子もサロン内にあるので、フィリップ・スタルクを卒業研究のテーマにしている学生にぜひ見せてあげたかったですね。また、私はある学会の役員もしているのですが、サロンのプロジェクトルームを学会の総会に使用することもできるのでとても便利です。
- サロン文化が根付くフランスの人や街の雰囲気や様子、日本との違いについてお聞かせください。
- フランスはサロン文化が根付いているので、美容院のような場所でも音楽家の卵を呼んでミニコンサートが行われたりします。ただコンサートをするだけでなく、休憩用にシャンパンと軽食が用意されていて、そこにいる人たちと挨拶や会話をして知り合いを増やしていく場にもなっています。私はフランス滞在中に日仏の比較調査をしたかったので、そのような場を通じて日本人のフランス語通訳者と知り合うことができて大変助かりました。自宅に誘われることもあって、シャンパンやチーズといった軽食をつまみに夜遅くまで語り合い、そこでまた人を紹介してもらって親しくなるということもあります。書店や大学でもサロンのような場が設けられたりします。フランスの人はそうやって友人を増やしていって、好きな人としか付き合わないのです。日本のように仕事上の付き合いやアフターファイブのような飲み会はありません。私はフランスに1年しか住んでいませんが、「パリに生まれたかった!」と強く思うほどにこの文化が羨ましいです。ただ、自分から動くことができない引っ込み思案な性格の人の場合は、この環境はとても困ってしまうかもしれないですね。加えて、日本人に比べてフランスの人はものすごく沢山質問をしてきます。私のフランス滞在中最後のプレゼンは、大学院の学生に対してでしたが、90分という持ち時間の長さに困った挙句30分程度で済む内容をゆっくりと45分ほどかけました。するとプレゼン後に学生からたくさんの質問が飛んできて、持ち時間が足りなくなってしまうくらいでした。質問内容も少々批判的だったりするので、日本人だったらシュンとしてしまう人もいるかもしれません。私は、意見が違ったら反論もしましたが、それがきっかけで相手と親しくなる場合もありますし、そのくらい忌憚無く言い合えることもまた楽しいと感じています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。