サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
2つの魚種のいいとこ取り!!近畿大学のハイブリッド魚

開催日: 2024年6月13日

○活動の主旨、目的○
「魚食普及」(魚を食べましょう)と合わせて、一歩踏み込んで養殖も普及しようという取り組みをしている中田氏。
水産業は大きくわけて2つあり、「漁業」と「養殖生産業」 養殖するには場所・狩漁・与えるエサが必要で、魚だけ養殖の狩漁に天然の狩漁を用いていて、人工狩漁の比率を上げていきたいという思いがあり、天然の資源に依存せず、自分たちの手で狩漁を作って養殖して、皆さんに食べてもらいたいとのこと。
ハイブリッドでは種類は違うが、脂のノリがいい品種と成長が早い品種を交配させて新しい品種を作ることができる。「ブリヒラ」の特徴は、「ブリ」の脂のノリのよさと鮮度が長持ちしない、歯ごたえがよくない、柔らかいというマイナス面を「ヒラマサ」の触感・歯ごたえがいいという特徴で補う。「クエタマ」の場合、クエの純系だと5年かかるのが「クエタマ」を温暖な環境で養殖すると2年。どんな魚種を養殖したらよいかというときに、もちろん美味しい魚を提供したいが一方で養殖業者の方が儲からないといけない。そういう魚種を選定したいという思いで儲かる魚種を作り出すことをしているとお話された。
近大では今まで19品種のハイブリッド研究をしてきており、別種でも受精する組み合わせがあるということが分かり、引き継いだ先生がハイブリッド研究をしようという経緯に至った歴史についてもお話いただいた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

中田 久 氏
学校法人 近畿大学/株式会社アーマリン近大
近畿大学水産研究所 准教授、白浜実験場長代理

国立研究開発法人 水産大学校増殖学科卒業。九州大学大学院農学研究科にて博士学位取得。
大学卒業後は長崎県に入庁し、主に長崎県総合水産試験場において22年間勤務。
2015年4月からは近畿大学水産研究所白浜実験場において勤務し、現在に至る。
これまでの主な研究は、「海産魚類(トラフグ,ブリ,クエ,ハモ等)の種苗生産技術に関する研究」、「ハタ科魚類(マハタ,クエ,アカハタ等)の性転換誘導技術に関する研究」および「海産魚(クエタマ,クエ×クエタマ等)のハイブリッド研究」

ナレッジドナーインタビュー

  • クエタマやブリヒラなど、魚同士が似ていると相性も良い場合が多いのでしょうか?
  • おっしゃる通り、相性の問題があるので似たような魚種や近縁の魚ほど受精率が良かったり孵化率が高かったりしますね。クエタマの親となるクエとタマカイは見た目が似ていても生息地が異なるために自然交配することが滅多にありませんし、ブリヒラの親となるブリとヒラマサも同様で、交配自体はとても難しいのです。あまり詳しくはお話しできませんが、そうした難しい部分を我々の人工交配技術で補っています。
  • 養殖魚の海外展開は考えておられますか?
  • もちろん、美味しい魚種を世界の皆さんに食べていただきたいという想いはありますので、海外展開も少しずつ進めていきたいと思っています。ですが、まずはもちろん日本からです。回転寿司での期間限定提供や関東圏のスーパーでの取扱い等のこれまでの様々な取り組みがきっかけとなって他のところから声が掛かることもあるので、今後も国内での近畿大学の養殖魚の認知は広がっていくと思っています。天然魚も美味しいですが、養殖魚もさらに美味しいということを多くの方々に知っていただきたいですね。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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