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サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
思考と感情に煩わされない生き方 -ストレスアクセプタンス-

開催日: 2024年7月4日

○活動の主旨、目的○
思考(言葉)はポジティブな状態を求めて危険を避けようとし、ネガティブな見通しや分析、感情を生み出しやすい。ネガティブな思考は安全性を高めるものの、ひとつの事柄に対する思考が他の多くの事柄にまで判断を及ぼし、その後の行動をコントロールするようになると、うつ、強迫観念、強い不安、依存行動、タイプA行動などの弊害を生むとのこと。
脳は合理的に学んだことを維持しようとするため、毎回学習する必要がない。また認知や感情もリサイクルしようとするため、一度覚えたストレッサを克服するのは難しい。ストレスは、思考や感情が揺らぎいつも嫌なことを思い浮かべたり気分が沈みこんだりしてしまうもので、これは自分でコントロールすることができないため、言葉や思考が作り出す幻想に惑わされないようにしなければならない。そうするには、ストレッサを受け入れ、思考は単なる言葉やイメージに過ぎないことを認識し、"いま、ここに"を意識することが必要で、これが新しいストレスマネジメントとなるのではないかとお話いただいた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

大野 太郎 氏
大阪人間科学大学 心理学部 教授

実験心理学を学ぶも、急遽、非行犯罪臨床の現場(拘置所、少年鑑別所)で社会人デビュー。
20年余りこつこつと働いた後に大学教育へと転身し、今に至る。
現在の専門は健康心理学(ストレスマネジメント)ですが、腰が定まらないタチで興味があっちこっちに飛びまくっている。そのため産業心理学、社会心理学、カウンセリング心理学などにも鼻を突っ込み、最近では、進化心理学に気がいっている。博士(人間科学)。

ナレッジドナーインタビュー

  • ストレスマネジメントの分野について研究を始めたきっかけをお教えください。
  • 元々私は法務省に所属して非行犯罪の臨床心理学を研究していました。犯罪者との面接や非行少年の立ち直り支援をするなかで、犯行に及んでしまう前にここで踏ん張れていたらよかったのになぁ…というターニングポイントがあることに気がついて調べてみたところ、踏みとどまることができなかったのはストレスが原因であることが分かりました。そしてストレスに打ち勝つことができれば犯罪に手を染めることも防げるのではないか、と考えたことがきっかけでストレスの研究を始めて今に至ります。
  • ストレスを感じたり、ネガティブな感情を抱いてしまった時の対処法を教えてください。
  • これまでは、”なるべく考えないようにする”という対処法が主流でした。例えば、ネガティブな感情を抱いたときに手首に巻いた輪ゴムを弾いてパチンと軽い痛みを与え、痛みに注意と集中を向けるようにします。この動作を何度も繰り返していくことで、輪ゴムを弾いた時の刺激をきっかけにネガティブな思考が飛んでいくようになるといった認知行動療法です。一方、本日お話ししたものは、ネガティブな感情に対して「また出てきたの?君元気やねぇ。」などと語りかけて受け入れてしまう療法です。ネガティブな感情を否定せずに受け入れて存在を意識しながら、今やらならければならないことをするのです。思考を切替えてやるべきことだけに集中しようとする従来の対処法もそれはそれでいいのですが、長続きはしません。ネガティブなことを考えないようにしても何度も思い浮かべてしまって眠ることもできないというような場合には、その感情と根本的に付き合ってみようとした方がよいでしょう。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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