サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 事業を成功させる行動経済学の活用法
開催日: 2024年8月1日
○活動の主旨、目的○
高度経済学は、"人"の前提を、感情を持たない・欲望はお金だけ・利己的で情報収集能力はパーフェクト・計算が瞬時にできてしまう"合理的経済人"としている経済学に、心理学を掛け合わせることで生まれたもので、"人は非合理・不合理な判断をしてしまう"ことを前提に経済を考えようという学問である。
行動経済学は万人に共通することはうまくいきやすいものの、文化・地域・世代・特性で変わってくるものなどはうまくいかないことが多く、事業で活用する場合は課題や背景をしっかりと分析する必要があるとのこと。
行動経済学を活かしたいと考える企業も、解決しなければならない課題はもっと複雑なことが多い。行動経済学をうまく活用するには、課題を明確にして仮設検証をまわし、ビフォーアフターを測ることがポイントであるとお話いただいた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
上木 誠吾 氏
CoBe-Tech株式会社(コービーテック) 代表取締役
京都文教大学臨床心理学科を卒業後、(株)エフアンドエムに入社。
その後、人材系ベンチャー企業に転じ管理部門責任者として急成長期の組織を支える。
2006年に(株)クリップオン・リレーションズを創業し、心理学領域のナレッジやノウハウを活かした事業を多数展開。2022年にCoBe-Tech株式会社を大阪大学発ベンチャーとして行動経済学の第一人者の大竹教授、認知行動科学の平井准教授と共に設立。
AERA(2018年1月)「社会起業家54人」に選出。公認心理師。
ナレッジドナーインタビュー
- 元々は臨床心理学を学ばれていたと伺いましたが、行動経済学に興味を持たれたきっかけは何でしたか?
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行動経済学はもともと心理学者が関わってできた背景があり、後にノーベル経済学賞も受賞しています。
興味を持ったきっかけと言われると、その背景を知った時ですね。行動経済学に関する書籍も読んではいましたが、今のように深く関わるようになったのはCoBe-Techの立ち上げが決まってからです。
行動経済学の元となる理論などは、考え方自体は心理学と通じるものがあるので、共同創業者の大竹(大阪大学教授)も親和性を感じてくれて、事業を一緒にやることになりました。 - これから先の取り組みとして、行動経済学を活用していきたい分野や課題などはありますか。
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会社が立ち上がった経緯の一つでもあるのですが、メディカル領域、特にメンタルヘルスの分野に行動経済学の知見を採り入れて、具体的な数字で改善状況が分かるような仕組みを作っていきたいと考えています。
また、本日は事業の枠組みに絞ってお話しをしましたが、行動経済学は基本的に、社会課題の解決にとても有効に活用できるものです。
たとえば、どのようにして犯罪を減らしていくか、災害時にパニックを抑えていかに避難行動を円滑に遂行するか、二酸化炭素の排出量をどのように削減していくか等。
結局、社会課題は人が絡んでくる問題ですよね。人々の行動を少しでも良い方向に変えていくことができれば、課題も改善されていきます。更に、行動経済学的要素を採り入れることのメリットとして、改善の程度を数値化しよりはっきりと見える化できるので改善スピードを加速させることができます。
そうした社会課題の解決に取り組むことで、皆さんのウェルビーイングの向上に貢献していくことが弊社のミッションであり、行動経済学はその実現可能性を高めるためのものだと考えています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。