サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- “才能が、社会と自分を断絶する”~天才と呼ばれるギフテッドの知られざる現状と苦悩~
開催日: 2024年10月24日
○活動の主旨、目的○
まず、ギフテッドに関する基本的な概念を共有し、現在の世間における認識と、実情についてお話いただいた。参加者には「ギフテッドチェックリスト」を使って、自身の特性を確認していただき、その結果をもとに、ギフテッドの強みや課題について解説いただいた。
続いて、ギフテッドの子供をもつ応援隊のメンバーより実体験に基づいた育児体験を共有いただいた。
ギフテッドが「才能に恵まれた天才」と見られがちな一方で、社会的に孤立する子どもたちがいる現状も紹介され、特に、学校教育の場において、ギフテッドの子どもがその才能を十分に理解されず、生きづらさを感じることがあり、それが不登校や精神的な問題へと発展するケースがあることを、実例を通じて説明された。
最後に、冨吉氏は、ギフテッドが生きやすい社会を築くことが、すべての人にとって生きやすい社会の実現につながると考えており、そのために正しい理解と教育が重要だと締めくくられた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
冨吉 恵子 氏
一般社団法人ギフテッド応援隊 代表理事
息子が10歳のころにギフテッドという言葉と出会う。当時はギフテッドに関する情報もつながりも不足していたため、2017年にギフテッドおよび2e(ギフテッドであり、尚且つ発達障害などの障害を二重に併せ持つ)と思われるこどもを育てる保護者のための任意団体として、ギフテッド応援隊を立ち上げる。2021年より一般社団法人となり、日本全国に610名の会員の会員を抱える。国内最大規模のギフテッドの保護者グループとして活動中。
ナレッジドナーインタビュー
- 全国にギフテッド応援隊の会員様がいらっしゃるとのことですが、地域による会員様の特色や違いなどはありますか?
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当会の会員数は、関東エリアが最も多く、次いで関西エリアが多い傾向にあります。
関東は、子どもたちの個性や能力に合わせた教育を重視するフリースクールや塾が早い時期から普及してきたためか、わが子の成長を長期的に見据えて、多くの方が入会してこられます。教育や子育てに対する熱意の高さを感じます。
関西には、個性豊かな子どもたちに振り回されつつもそれを面白がり、悩みも笑いに変えようという風土があります。以前は関東に比べると、探究型や個別最適に特化した学びの選択肢に限りがあったのですが、そのぶんを保護者が自分たちの手でアクションを起こすことで補ってきた印象です。
全国的には、地方在住の会員は数が少ないです。これは単に人口の偏りだけでなく、比較的規模の小さい学校が多く、子どもたちが先生の目が届きやすい環境で学べることで、生きづらさを抱えにくい、という背景もあるからではないかと思っています。
- 全国のギフテッドに関心を持たれている方に伝えたいことがあれば、ぜひお聞かせください。
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現在ギフテッド応援隊は会員制という取扱いにさせていただいています。なぜかというと、周囲からの無理解によって傷ついた経験を持つ親子にも、安心して過ごしてもらいたいからです。
「ギフテッド」という言葉は、当事者にとって必ずしもポジティブな意味を持たない場合があります。そしてこの言葉が壁となって、当会への入会をためらう方もいらっしゃるかと思います。当会は高IQかどうかという点にはこだわっておらず、入会にあたってIQの数値をお尋ねすることはありません。「わが子はギフテッドかもしれない」という保護者の直感を何より尊重しています。入会を迷われている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、お問合せしていただきたいと思っています。お子さまやご自身の可能性を広げるための第一歩となるかもしれません。
私たちはギフテッドを特別扱いしてほしいと思っているわけではありません。ただ、ギフテッドを含むさまざまな個性を持つ人が、理解され受け入れられる、そんな寛容な社会になってほしいと願っています。今後も、会員のプライバシーは守りつつ、できる限り社会に見える形で活動をしていきたいと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。