サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 【医師×ミシュラン3ツ星シェフ】美食で健康を支える国循発ベンチャー
開催日: 2024年11月7日
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○活動の主旨、目的○
脳卒中での死亡率はかなり下がってきているが、その一方で、嚥下障害と付き合っていかなければならない方が増えている。嚥下食は、ある程度の硬さやとろみがついていて均一である必要があるため、飽きて食べなくなってしまい、どんどん痩せて体力がなくなってしまう患者さんが多い。このような患者さんのために、美味しくてちゃんと体力がつく食事を作らなければいけないと感じた中澤氏は、メディカルガストロノミーという概念を世界に広めたいと考えていたレストランHAJIMEの米田肇氏とGastroMedicaを立ち上げた。
GastroMedicaでは食べる力を測定する機械の開発、便の研究、飲み込み不要のサプリメントの開発にも取り組んでおり、これらの取り組みを通して食で健康寿命延伸のアプローチをしていきたいと考えているとのこと。
これから、色んな分野の方々と繋がり共創し、日常生活のなかで健康寿命を延ばすという健康文化を広め定着させたいとお話いただいた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
中澤 晋作 氏
国立循環器病研究センター脳神経内科医師
株式会社GastroMedica代表取締役
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医師として、2023年4月より国立循環器病研究センター脳神経内科で勤務。
2023年11月に同センター脳神経内科部長 猪原匡史と、ミシュランガイド三つ星を世界最速で獲得したレストランHAJIMEのオーナーシェフである米田肇とGastroMedicaを起業。
医学と食の知識を組み合わせたメディカルガストロノミーという学問を体現すべく、生活習慣病の予防を行うことが出来る食事の開発を進めている。
脳卒中予防サプリメントや、嚥下障害患者のための美味しさと安全性にこだわった食品を開発中。
ナレッジドナーインタビュー
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- 便は宝の山ということですが、国によって便に違いはあるのでしょうか。
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私たちの腸内には、食べ物を分解して体に必要なエネルギーを作る「腸内細菌」が住んでいます。この腸内細菌は、私たちの体ではできない仕事をしてくれており、その能力は食べ物や文化によって大きく変わります。
たとえば、日本人は昔から海藻をよく食べています。これが可能なのは、日本人の腸内に「バクテロイデス・プレビウス」という細菌がいるおかげです。この細菌は、海藻に含まれる特別な成分を分解する力を持っています。一方で、海藻をあまり食べない北米の人々の腸内には、この細菌はほとんど見られません。そのため、北米の人たちは海藻を消化するのが苦手です。
さらに興味深いのは、この細菌が元々は海藻についていた海洋細菌から腸内細菌に「引っ越してきた」ということです。日本人が昔から生の海藻を食べる習慣があったため、こうした遺伝子が腸内に取り込まれたと考えられています。つまり、食文化が腸内細菌の種類や働きにも影響を与えているのです。
私たちGastroMedicaは、このような「腸内細菌と食文化のつながり」に注目しています。国や地域によって異なる腸内細菌の特徴を研究し、その土地の人々に合った健康的な食事や製品を作りたいと考えています。 - サロンではどのような方々との交流を希望されていますか?
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医療現場では、どうしても医療関係者との交流が中心になりがちで、視野が狭くなってしまうことがあります。そのため、私自身、異なる業界の方々と積極的に情報交換をしたいという強い思いがあります。
サロンでは、医療関係者だけでなく、ビジネス、テクノロジー、デザインなど、さまざまな分野で活躍されている方々との交流を希望しています。異なる視点や価値観に触れることで、自分自身の発想を広げ、GastroMedicaの活動にも新たなインスピレーションを取り入れたいと考えています。
医療と異分野の融合が、新しい健康文化の創造にどのような可能性をもたらすのか。そんな挑戦を、ぜひ多くの方々と一緒に進めていきたいと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。