サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 聞くデザイン
開催日: 2025年2月6日


○活動の主旨、目的○
デザインとは、コミュニケーションの風通しを良くすること、つまり情報をわかりやすくすること。大崎氏は、デザインをする際、ギブ(寄り添う)精神を大切にし、理念、哲学、楽しそう、分かりやすい、オリジナリティ、持続性、物語性など、たくさんのことを考えながらデザインをしているとのこと。
デザインは、傾聴し理解をすることが大切で、同時に「自分の声」を聞くことも必要であり、「自分の声」とは、五感を研ぎ澄まして背景にある物語を感じ取ること、それを可視化するのが「聞くデザイン」であるとお話いただいた。
また、五感や感受性を豊かにするため、相手の表情や声のトーンから感情を読み取る、日常の些細な出来事に心を動かす、「こう感じる人もいるかも?」と考える癖をつける、芸術に触れる、本物を見る・聞く、行ったことのない場所へ行ってみる、自然に触れるなど、丁寧に生きることを心掛けていると教えていただいた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
大崎 淳治 氏
大崎事務所 グラフィックデザイナー&アートディレクター

外資系化粧品メーカーに勤める両親のもとで、一卵性双生児の弟として誕生。幼少期より化粧品のプロダクトや香水の瓶の美しさに心を惹かれ、デザイナーを志す。芸大を目指すも合格が叶わず、夜間のデザイン専門学校に進学。デザイン事務所を経て独立し、アートディレクター、グラフィックデザイナーとしてブランディングを基本に活躍中。主な仕事に NIFREL(ニフレル)ロゴマークV.I、あべのハルカス展望台ハルカス300 ロゴマークV.I、北おおさか信用金庫ロゴマークV.I、大阪弁護士会ロゴマークVI.他
受賞歴:
国際美学会議シンボルマーク国際公募一等、CONQUEROR DESIGN CONTEST 入賞、CS デザイン賞優秀賞、Body Work 賞等 国内外入賞多数 全国で講演及びセミナー登壇多数。
社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員
ナレッジドナーインタビュー

- デザインの世界に興味を持ったきっかけを教えてください。
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小学生の頃から手先が器用で、学校の美術の先生によく褒めてもらいました。私の作品が優秀作品として学内に掲示されることも多かったです。
クラスでも芸術的な感性が飛び抜けた存在だったため、少々天狗になっていましたが、その経験が自信につながり、芸術の世界にのめり込むきっかけとなりました。 - 大崎様が考える『成功するデザイン』と『失敗するデザイン』についてお聞かせください。
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本日のテーマは「聞くデザイン」でしたが、単にクライアントの要望をそのまま聞き入れて、自分の感性を無視して仕上げてしまうと、結果的に『失敗するデザイン』になりやすいと思っています。だからといって、クライアントの予算を使って自分の感性を全面に出した作品を作るような、独りよがりなデザインでは、当然ながら長く愛されるものにはなりません。
たとえ自分の好みに合わないデザインであっても、クライアントの意向に寄り添いながら進めることが大切です。
その姿勢が結果として、社会に愛されるデザインにつながると考えています。もちろん、100%クライアントの意向に従うだけではデザインが無難にまとまりすぎて、先細りしてしまいます。そこで重要になるのが、「自分の感性をどこまで融合させるか」です。
例えば、三つのデザイン案があるとします。一つ目はクライアントの意見を忠実に再現したデザイン、二つ目は要望を取り入れつつ自分のセンスを加えたデザイン、三つ目はクライアントの意見を踏まえながらも、自分の感性を前面に出したデザインです。最終的に選ばれるのは、ほとんどの場合三つ目のデザインです。なぜなら、それこそがプロの仕事であり、クライアントが「自分たちでは思いつかない」と感じる部分だからです。逆に一つ目や二つ目の案だと、これなら自分たちの発想の領域内だと思われてしまうのです。
だからこそ、クライアントの声をしっかり聞きながらも、最終的には自分のスタイルを信じてデザインを提案することが、良い結果=『成功するデザイン』を生む秘訣だと確信しています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。