サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 広告の新しい形『ポッピンアップポスター』 -飛び出す仕掛けが生み出す新たな広告体験-
開催日: 2025年4月10日


○活動の主旨、目的○
広告メディアが無視されやすいという問題を解決するため、これまで様々な研究がされてきた。しかし、どれも広告の存在を知らせるに留まり、内容を知ってもらうという広告本来の目的を果たせていない。そこで開発されたのがポッピンアップポスターで、これは存在を知らせつつ内容も伝える鳩時計に着目し、画像コンテンツに応じた変化を得意とするピンズディスプレイと同じような機工のものにドアペーパーをつけて飛び出しに応じてドアが開いたり閉じたりする仕組みになっている。
カフェラボで行われた実証実験では、紙ポスター、サイネージ(静止画)、サイネージ(動画)と比較。広告に気付いていない状態から実際に商品を購入されるまでの無自覚→気づき→関心→行動どのフェーズにおいてもポッピンアップポスターが有意な結果となり、人を無自覚の状態から行動へと移行させる能力があることが明らかになったとのこと。
気づかれるだけでなく広告内容を効率的に伝えることができるポッピンアップポスターは、商品選択に影響を与えられるものになるのではないかとお話された。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
田中 康二郎 氏
株式会社サイバーエージェント AI Labリサーチサイエンティスト / 筑波大学 客員研究員

1996年生、2025年 筑波大学人間総合科学学術院博士後期課程を修了し、博士(情報学)を取得。
JST次世代選抜研究員、日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、2025年より株式会社サイバーエージェントAI Labのリサーチサイエンティストおよび筑波大学客員研究員に着任。
専門分野はヒューマンコンピュータインタラクションであり、特に形状変化型デバイスや実世界指向インタフェース技術の研究開発に取り組んでいる。これまでに開発したデバイスは、第12回ナレッジイノベーションアワード優秀賞をはじめ、学生CGコンテスト優秀賞、電波の日・情報通信月間中央式典「地域発デジタルコンテンツ」総務大臣奨励賞、筑波大学学長表彰など数多くの受賞歴を有し、高い評価を得ている。
ナレッジドナーインタビュー

- カフェラボでの実験を通してどのようなことを感じられましたか?
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狙いどおりの結果ではありましたが、「ヒトは動くものに興味を示す」ということを再確認できました。実験の様子を映像で確認すると、来場客がポッピンアップポスターに近付いて、飛び出す動きを興味津々に見つめる姿が多く見受けられ、まるで赤ちゃんのようだなと感じると同時に、やはり動くものにはそれだけのパワーがあるのだと実感することができました。
”見慣れてしまうのではないか”という点については我々も課題感を持っていますが、動くものに対して注意を向けるという行為はとても原始的なものであり、広告に利用できると考えています。動きの効果をどれだけ長く得られるかについては、今後も長期間での実験を重ねて明らかにしていきたいです。 - 今後の展望をお聞かせください。
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素材というものは多種多様で、木は木なりの温かみがあり、氷は氷なりの冷たさがあります。我々人間にも色々な性格があるように、物質にも色々な性格があると思います。
それらを一つの現象として捉えつつも、計算機器の力を活用して、物質に対する概念を変えるような新しいサービスやインターフェースを色々な場面で発表できるように、今後も頑張っていきたいです。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。