サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 苦悩の歩き方 -大ヒット靴“リゲッタ”社長に学ぶ、苦労の乗り越え方について-
開催日: 2025年4月24日


○活動の主旨、目的○
2000年年末、広島の本社に呼び出され、これから全ての生産を中国産に切り替えると告げられた結果、下請けからメーカーという立場を目指すことにしたが、初めての展示会は注文が0だった。そこでいい物を作ったら売れると思っていたのは誤解だったと気づく。
寝ずにデザインの勉強等をし、頑張りが徐々に周りを動かしヒットメーカーのような扱いを受けたが、コピーされまくり、展示会に商品を出すのが怖くなったため問屋さんに直接送ることにした。それでもコピーされる。「どうせコピーされるのなら、俺らが最初から中国で作ろう」と父に相談するが「儲からんでもええから生野の職場が潤う方が嬉しい」と言われ、2004年にブランド「リゲッタ」を立ち上げる。
リゲッタは展示会で大好評を受け、取引が全くないバイヤーから7500足の注文、そして翌年は3倍注文すると言われたが結局そのバイヤー(小売店)にもコピーされていた。ある展示会で「ええ靴作っているけど、出る展示会間違えていない?」という言葉を受け自分のリゲッタに合う展示会を探し続け「東京ギフトショー」にたどり着く。今後は「生野区で初のオープンファクトリーを作る」「宙に浮く靴を作る」ことをしたいとお話され、世界中に知り合いが増えて人の役に立つことができたらいい、それで自分が喜べたらいいとお話いただいた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
高本 泰朗 氏
株式会社リゲッタ 代表取締役社長

1975年生。大阪市生野区出身。家業は靴メーカーの下請けとして、サンダルを主体とした靴を受注生産するタカモトゴム工業所。靴の専門学校を卒業後、神戸・長田で3年間の修行生活を送り、家業に就く。
下請け切りで売り上げゼロになったことをキッカケに、自社ブランド「リゲッタ」を立ち上げ。コピー商品との戦いを経て、年商20億企業に成長させる。
自社のみならず生野全体で靴作りをする心意気で生野区の地域活性化にも取り組む。経営理念「楽しく歩く人をふやす」を信条として、靴作りに邁進中。
ナレッジドナーインタビュー

- 苦労は若いうちに経験しておくべきだと思いますか?
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僕は学生時代に全く勉強をしておらず、当時はこのまま何の波もない人生を送っていくのかなと思っていました。しかし、本日お話しした経験を通して、「ほんとの本気で取り組んだら、人生はこんなにも変わるんやな」と、実感しました。
偉い人はよく、本気でやったらできると言いますが、過去の僕はその言葉を嘘だと思っていました。今でも何かに本気で取り組んだ人が必ず成功するとは思っていませんが、「上手くいっている人はみな本気で取り組んでいる」ということは理解しています。
本気で取り組むキッカケが自分にもあってよかったです。もし、お金や仕事に恵まれた順風満帆な人生を送っていたら、現在のようにはなっていなかったでしょう。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」とは、まさにこのようなことを言うのだなと思います。僕は20代で苦労を経験した際、10代の頃にもっと頑張っていればよかったと痛感しました。英語の勉強を本気でしておけばよかったと思いながら、今15歳の子に混じって英会話スクールに通っているのですから。
いくつになっても勉強はできますが、やはり学ぶ努力と苦労は若いうちにしておいた方がいいと思います。 - たくさんの裏切りにあってもなお「血の繋がっていない人をどれだけ愛せるだろう」という考えに至られた理由をお教えください。
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下請け切りなどの色々な辛いことも経験して、人に対して好き嫌いの感情を持つこともありますが、あのようなことがあった「おかげで」挑戦できた、「あれが無ければ」挑戦していなかったと思えることもたくさんあります。
例えば、本日の講演では生野区の靴作りの技術は他の名産地と比べてあまり高くないというお話しをしましたが、そんな生野区の技術でも製造できる靴の造形を考えた「おかげで」生まれたデザインがたくさんあります。出来事のすべてをポジティブに考えることは難しいですが、「そのおかげで」と思えるようになってからは調子が上がってきていると感じます。
かつては家族5人でやっていた下町の工場が、今や規模が大きくなり、日本中、世界中を旅させてもらえるようになりました。だからこそ、国内外で地震や災害が起きると以前にも増して嫌だと思うようにもなりました。国内や海外で知り合った数多くの友達に何かがあったらどうしようと、心配になってしまうのです。
これは僕が本気で頑張った結果、世界を知り人との繋がりができた「おかげで」感じられるようになった感情なので、ものすごく誉なことだなと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。