サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- はちみつとハイテク ── 知られざるキルギスの魅力と実力
開催日: 2025年6月5日


○活動の主旨、目的○
今回は2023年11月にナレッジキャピタルとパートナーシップを締結したキルギス共和国ハイテクノロジーパークCEOアジズ・アバキロフ氏をお迎えし、お話いただいた。
はちみつで話題となったキルギスは、チューリップやニンニク、リンゴの原産地でもあるが、石油や石炭などの資源がなく、海もないことからITが発達した。IT業界の平均年齢は25歳と若者が多く高い技術力があり、電力が安価、ネット環境が良好、会社設立が数日でできるなど利点が多く、キルギスのハイテクパークには多数のIT系企業が入居しているとのこと。今後は日本との関係をさらに強化したいとお話され、キルギスの有力IT企業とのパートナーシップの構築、日本のIT系企業のキルギス進出、日本のラボ型オフショア開発企業のキルギス進出、キルギスの学生インターンの受け入れなどを提案された。
また、キルギスハイテクパークとナレッジキャピタルを繋いだJETROより、企画部海外地域戦略主幹ロシアCIS地域担当 浅元 薫哉氏にもお話いただいた。
JETROではイノベーションの創出、農林水産・食品の輸出サポート、日本企業の海外展開支援、海外の情報収集・調査・研究・発信などを行っている。キルギス関係では10年ほど前に日本ではちみつを紹介し、成城石井などで販売できるように支援をしたが、日本ではまだキルギスについて知られていないこともあるため、ウェブサイト上で関連情報の発信やセミナー、日本企業に対してミッション派遣も行っている。
キルギスは中央アジアのスイスとも呼ばれ、観光資源が豊富な場所なのでぜひ足を運んでみていただけたらと呼びかけられた。最後に、今後もハイテクパークやナレッジキャピタルと協力して、キルギスと日本間のビジネス支援を行っていきたいと締めくくられた。
講演後には2階のThe Lab.にある「キルギスエキスポバザール」へ移動。販売されているはちみつの試食やAI体験をさせていただいた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
アジズ・アバキロフ 氏
キルギス共和国ハイテクノロジーパーク CEO

1980年、キルギス共和国ビシュケク生まれ。2002年、キルギス国立大学東洋学部(日本・日本語専攻)卒業。2003年にIT企業「ユニーク・テクノロジーズ」を創業し、2008年には複数のIT企業を取りまとめキルギス・ソフトウェアおよびサービス開発者協会へ統合。その後、国内のIT産業振興を目的として「ハイテクパーク」の設立を主導し、2011年にはハイテクパークに関する法律の採択を実現。若者のIT教育にも注力し、「ITアカデミー」を設立。2023年5月より、キルギス共和国ハイテクパークのCEOを務める。
ナレッジドナーインタビュー

- 日本で精力的に活躍されていますが、こちらでの生活はいかがですか?
-
私はかつて日本から援助をいただき、留学生として大阪で勉強していました。そして大阪が大好きになり、いつかまた帰ってきたいと強く思っていました。
キルギスへの帰国後からこれまで、キルギス・ソフトウエア開発協会の創設、ハイテクパークの設立など様々な経験をしてきましたが、これも日本でJICAやJETOROのプログラムを受けることができた成果の賜物です。
そして現在、私自身の帰ってきたいという希望が叶い、キルギスが大阪・関西万博に参画できているのも、ナレッジキャピタルのおかげで成功できたことだと思っています。 - 今後の展望についてお聞かせください。
-
今はキルギスにとっても日本にとっても、大きなビジネスチャンスの時期だと考えています。
日本の将来的なIT人材不足を想定したキルギスの有力IT企業とのパートナーシップの構築や、キルギスを起点として日本の高品質な商品を中央アジア市場へ展開する支援など、お互いにチャンスがあると思っています。
そして現在のThe Lab.への出展は、万博会場の外にある、「キルギスとハイテクパークの小さなパビリオン」という役割を担う貴重な機会なのだと捉えています。
The Lab.に来場した皆様に、キルギスという国があることを知っていただけるだけでも、幸せなことだと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。