サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ：
- 日本の革職人の技に光を当てる"気づいてもらう"マーケティング
開催日： 2025年10月9日
○活動の主旨、目的○
株式会社プリンシプルは、セレクトショップ「フリースピリッツ」を運営し、小規模な職人が手がける“名もなきブランド”の革製品を中心に販売している。すべての商品を買い取りで仕入れて、認知度の高いブランド製品に比べると高リスクなビジネスモデルを採用しているが、この“売りにくい商品”を顧客に届けるために、「製造と販売」「リアルとネット」「国内と海外」という6つの軸を連携させる独自の戦略を展開している。
特に、売上高ではECが上回る現状においても、全国に12店舗の実店舗を展開しており、商品を販売するだけでなく、職人の“生き方”を伝える場として重視している。また、YouTubeやSNSを活用した情報発信にも力を入れており、現在は費用対効果の高いTikTokを主要なツールとして活用しているが、そこでも発信する内容は、クオリティの高さよりも、店舗スタッフが職人の想いや価値を等身大で伝えることに重点を置いている。
それにより顧客を“購入者”から“応援者”へと変化させ、“推し活”のような経済圏を生み出しているとのこと。
また、村田氏は自社オリジナルブランド「レンマ」の工房がある神戸の乙仲通り商店街の代表も務め、地域活性化にも尽力している。感度の高い中小企業や個性的な店舗が集う乙仲通りには、神戸らしい文化が息づいており、この地域でコミュニティの循環経済を実現することで、起業意欲の向上や雇用創出など、社会課題の解決にもつなげたいとお話された。
ナレッジドナー（知の提供者）プロフィール
村田 光俊 氏
株式会社プリンシプル 代表取締役社長
関西学院中・高・大と進学し、船井総研に入社。中小企業のweb活用やECの立ち上げ＆活性化、新規事業創出、海外ビジネスを担当。2013年に、株式会社プリンシプルを創業。日本の革職人のセレクトショップ・フリースピリッツを運営。有名ではないが素晴らしいブランドや商品のみに光を当て、価値を発信し、作り手と共に歩むスタイルを実践。実店舗、EC、海外を連動させながら、お金をかけずに良い商品やサービスを世の中に発信し、日本のモノづくりを持続可能な形にしています。オリジナルブランドのレンマは2024年では各種通販モールで一番売れたメンズ財布にまで成長。店舗は全国11店舗あり関西はルクアイーレ8F、なんばパークス3F、西宮ガーデンズ3F、神戸と京都は路面店として元気に営業中。
ナレッジドナーインタビュー
- 事業立ち上げにあたり、取扱商品を革製品にするか本にするかで迷われたとのことでしたが、なぜその二択だったのでしょうか。
-
単純に僕が好きなものの二択で迷っていました。革製品にした決め手としては、ビジネスという側面で見たときに、将来性があったものが本よりも革製品だったからです。
書籍はすでに流通形態が固定化されているうえに大手販売事業者も参入しているため、ある程度大きな規模で経営展開できないと厳しくて、これはもう革製品だろうということで決めました。 - 職人が作った製品を取り扱う企業として、今最も伝えたい想いをお聞かせください。
-
一番の課題は、素晴らしい製品とサービスが世の中になかなか広まっていかないことだと考えています。「ビジネスとして上手く対応できる人が成功している」という現状に対して、本当にそれで良いのだろうかと疑問に思います。
とはいえ、この現状をひっくり返せる人もなかなかいません。今後も可能な限り頑張っていきたいと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー（知の提供者）」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。
