サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- OMOSIROIって何だ? 発想の源泉とマチオモイ
開催日: 2025年10月16日
○活動の主旨、目的○
ナレッジキャピタルのビジュアルデザインも手がけられた清水氏は「すべてはデザイン」という考えのもと、グラフィックやプロダクト、空間プロデュースなど幅広いデザインに携わっておられ、その事例を紹介された後、「OMOSIROI」という感情の定義を深掘りされた。
「OMOSIROI」とは、単に理屈や頭で考えるのではなく、「未知のインパクトに体が即座に反応し、心が震える、人間にとって最も原始的かつ根源的な感覚である」とのこと。現代はAIの進化により、手法ややり方が溢れ、誰でも簡単に手に入れられる時代であるが、それだけでは、作り手が変わっても同じようなものになってしまう。だからこそ、私たち人間が本当に大切にすべきなのは、自分の体や心の声を素直に感じ取り、内側から湧き出てくる「OMOSIROI」という感覚であり、この感覚こそがその人ならではの独創的な発想の源泉となり、仕事においても他者とは違う価値を生み、強いモチベーションのベースになるとお話された。
続いて、日本全国のクリエーターが大切な町への想いを表現する「マチオモイ帖」について紹介された。多くの制作者が最初に「自分の町には何もない」と言うそうだが、町の真の価値は一般的な観光情報のようなものではなく、「個人の体験やイメージで構成された心に残ったものを再構築したもの」にあるという。マチオモイ帖づくりは、たくさんある自身の記憶や感情の中から最も大切なものを選択し、再編成する、自分自身との対話(内観)のプログラムとなっており、この内観を通じて、人は過去の自分と深く向き合い、本当に大切にしていた価値観の再発見ができるのだとお話され、最後に、「自分の体の声や心の声をしっかりと聞いた先に、すでに知っていたはずの自分に出会えるのではないか」というメッセージで締めくくられた。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
清水 柾行 氏
青空株式会社 代表/大阪芸術大学デザイン学科 教授
グラフィックデザイナー・クリエイティブディレクター
大阪市生まれ。「すべてはデザイン」という考え方で横断的にデザインやプロジェクトを実践する。グランフロント大阪 ナレッジキャピタル V.Iデザイン、APEC奈良インラクティブデザイン、東日本大震災での復興プロジェクトや、KITTE大阪開業モニュメントや万博で販売した世界のおにぎり等の共創プロジェクトに関わる。CSデザイン賞大賞、NY ADC特別賞、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞等。(公社)日本グラフィックデザイン協会運営委員、わたしのマチオモイ帖制作委員会、大阪市特別参与。
ナレッジドナーインタビュー
- デザインやプロデュース活動をする際に意識されていることはありますか?
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物事を動かしていくとき、自身のモチベーションを意識することは非常に大事だと思っています。
例えば何かがうまくいかなかった時でも、自分のモチベーションが高ければ乗り越えることができたりします。
周りの人だけが良いと思っているだけではなく、自分の気持ちと心も動くかどうかという「自分自身も周りも面白いと思える」ということを、モチベーションを保つ上で一番大切にしています。 - 今後の展望があればお聞かせください。
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私は何年後に自分はこうなりたいと具体的には考えず、「その時出会った物事や人の流れで結果こうなった」というタイプなので、基本的に今後がどうなるか自分でもわかりません。強いて言うのであれば、これまでは幅広く活動をしてきましたが、これからはもう少し自分の内面に向き合おうとするような気がしています。
元々、私は40歳手前までは周りにあまり興味が無く閉じたタイプの人間でしたが、様々な活動がきっかけとなってある時それが180度反転しました。自分の周りには多くの可能性があって、正しい答えがいっぱい落ちているということに気がついてからは心がドンドン開いていきました。そしてそのような時期を過ごした先に、改めてもう一度自分の心の内面に向かう時期がやって来るのかな、という予感がしています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

