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サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
あなたの街の災害をリアルに体験する ― デジタルツインで考える新しい防災と減災

開催日: 2025年10月30日

○活動の主旨、目的○
学生と一緒に色んなセンサーを使って揺れを測ったりして、シミュレーションを通じて様々な計画をしていったり、幅広く研究してひとつの目的に繋げていく。建物は個性があり、個性を全く殺したものが震度。都市を考えるためには実際に使われている建物の個性が大事でもっと活かすために、アプリケーションに組み込ませたとお話された。
「事前防災」(様々なシナリオに対して、解像度の高い理解や意思決定に貢献)、「事後防災」(初動に対する意思決定に貢献、過去の統計的傾向、平均的特性に基づくAIによる推定は不確かさがある)に貢献できるとのこと。
専門的な知識がなくても動画を撮るだけで空間のシミュレーションができるというイメージ強化を目指しているという学生のお話や、防災意識を高めるためにはきっかけ作りが大事だと締めくくられた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

金子 健作 氏
大阪公立大学大学院 工学研究科都市系専攻 講師

東京工業大学(現・東京科学大学)で博士号を取得後、東京工業大学特任准教授などを経て、2021年10月より大阪公立大学にて、建築に関する教育ほか耐震技術に関する研究に従事。近年は、耐震分野へのAIや3D都市モデルの応用に取り組んでいる。その一つとして、身近なマンションなどを対象とした構造ヘルスモニタリング技術の社会普及について研究を進めている。この構造ヘルスモニタリングは、スマートウォッチのヘルスケア機能の建物版と言える。また、3D地図プラットフォームCesiumの認定開発者でもあり、災害リスクの共有に向けた新たな取り組みとして、WebサイトMeSMappを公開している。

ナレッジドナーインタビュー

  • 現在の取り組みの目的と学生に期待していることについて具体的に教えてください。
  • 私は大阪公立大学の都市科学・防災研究センター(UReC)にも所属していますが、防災教育の社会実践については専門の教員が担当しており、私は主に建築構造工学や耐震工学といった別の観点から地震防災の課題に取り組んでいます。ただ、どの分野から防災を捉えても、まず関心を持つことが出発点であることは共通しています。少しでも興味を抱くことで、防災が自分の生活とつながった自分ごととして実感できるようになります。本日のような講演活動は、その最初の一歩をつくる大切な機会だと感じています。

    また、防災は知識として理解するだけではなく、自分で体験することで、はじめて深い納得感を伴う理解へとつながります。今後は、地域住民の方々にも参加していただける都市・建物デジタルツインを活用した体験型の取り組みを徐々に広げ、地域と大学がともに地震防災を考える場づくりを進めていきたいと考えています。学生にも積極的に関わってもらい、地域と協働しながら学ぶ姿勢を自然と身につけてほしいと思っています。

    さらに、本日は学生にも一部の発表を担当してもらいました。専門外の方に向けて自身の研究を説明する経験は、理解を深めるだけでなく、相手に伝わる表現を工夫する力を養う、とても貴重な機会です。いずれは、私が不在の場でも、学生自身がワークショップやアウトリーチ活動を企画し、主体的に運営していけるようになることを期待しています。
  • ご自身の研究を今後どのように社会に実装していきたいとお考えですか?
  • 建築物の減災という観点では、制振・免震技術は、高層ビルや医療施設などではすでに広く採用され、社会的な認知も高まっています。しかし、私たちの身近にある街中の中低層建築物では、まだ十分に普及しているとは言えません。だからこそ、より多くの方々に向けて、構造安全の重要性を丁寧に伝えていくことが欠かせないと考えています。
    制振構造は、初期の建築コストが若干上がることもあり、建築主の方が外装や内装といった目に見える部分に予算を割きたいと考えるのは自然なことです。しかし、地震後の修復コストや、建物が使えなくなることで生じる経済的損失まで含めて考えると、構造への投資は長期的には大きなメリットがあります。被害が小さくなれば、結果としてトータルコストを抑えることができ、社会的にも経済的にも合理的な選択になり得ます。

    本日の講演では防災全体をテーマにしましたが、今後は制振・免震技術の具体的な効果や価値についても、より分かりやすく発信していきたいと考えています。講演やワークショップ、デジタルツインを活用した体験型コンテンツなど、多様な方法で情報を届けることで防災への関心を高め、そのことを通じて制振・免震技術の普及に貢献していくことが、私の目標です。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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