サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
1000年の食材“こんにゃく”を科学して世界へ挑む、フードテック最前線

開催日: 2026年5月14日

○活動の主旨、目的○
1000年以上前から日本に伝わる伝統食材「こんにゃく」は、ほとんどが食物繊維で構成されている。しかし固まるメカニズムは科学的に解明されておらず、その機能性も十分に明らかになっていないとのこと。
「カロリーゼロで消化できないのになぜ食べるのか」という点に関して、「『食べる』を楽しむ極致」であるとし、栄養ではなく、味・香り・食感・のどごし・温度といった体験そのものに価値があるとお話された。
株式会社NINZIAは「全人類の健康を守る」をミッションに、伝統食材×エンジニアリングのアプローチで事業を展開している。こんにゃくパウダーやペーストを活用したスープ・グラノーラ・ワッフルミックスなどを展開するほか、防災食として温めなくても食べられる欧風カレーのレトルト「NINZIA BOSAI」なども開発しているとのこと。こんにゃくはつなぎとしての機能にも優れ、栄養をより詰め込める素材として注目しているという。
今後はハラール認定・低GI認定取得によるグローバル展開や、米国ポートランドへの拠点展開、万博でのうどん・ヌードル出店も見据えているとのこと。「あなたの『食べる』をもっと自由にする」という理念のもと、こんにゃくの可能性を世界へ広げていきたいとお話された。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

寄玉 昌宏 氏
株式会社NINZIA代表取締役CEO兼CRO

立命館大学卒業後、大手企業を経て農業スタートアップに転身。同時に慶應SDM研究科修士課程で日本の食文化について研究。Uターン起業し介護関連の事業を展開する中で、蒟蒻技術を用いたフードテック事業を開始。
糖尿病になりやすい家系であることから、あらゆる制限を超えて楽しめる食の開発に取り組んでいる。
2025年4月より大阪大学工学研究科後期博士課程にて蒟蒻を研究中。

ナレッジドナーインタビュー

  • こんにゃくを「食べるを楽しむ極致」と表現されていましたが、今後目指すものは何ですか?
  • 最近、国内外でこんにゃくを「アレルゲン対応の食材として非常に優秀だ」と、評価していただける機会が非常に増えています。本日の講演では、糖尿病にフォーカスを当て、砂糖や水飴の代わりにこんにゃく粉を使う事例を紹介させていただきましたが、糖のほかにも小麦や卵白など、代替の需要がある食材は様々にありますよね。
    アレルゲンフリーのメニュー開発は近年盛んになっていて、その中でも洋菓子や洋食類は卵や小麦を使わずに調理することが非常に難しく、それらの食材の代替としてこんにゃく素材が使えないかという打診をいただく機会も増えてきました。こんにゃくが食事の課題を解決し、近い将来皆さんが制限なく美味しいものを食べられる社会になっていけたら良いなと思っています。
  • こんにゃくの固まり方や機能性のメカニズムはまだ完全には解明されていないとのことですが、もし全て解明されたら未来はどのように変わっていくと思いますか?
  • 私は今大学院で、こんにゃくの凝固過程のメカニズムを解明すべく研究を行っています。現在明らかになっている凝固のメカニズムは全体の6割程度で、そこから先は今でも経験則頼りなのです。
    かつて、「こんにゃくの凝固剤は、アルカリ性の度合い(pH)が同じなら何でもいい」という説もありましたが、今は凝固剤に含まれる金属イオンの種類等が凝固後の物性に影響するともいわれています。近年は、こんにゃくが固まった時のテクスチャーの違いをより詳細に分析する方法も確立されて、ゆくゆくは凝固剤を絶妙にカスタマイズすることで多様な代替食品をこんにゃくで作ることができるようになっていくのではないかと考えています。
    機能性のメカニズムに関しても、現在、龍谷大学や立命館大学と共同研究を行なっており、臨床試験等によって今後様々な疾患への有用性が解明されていくだろうと思っています。
    現在日本国内のこんにゃく市場は年々縮退しており、海外輸出もほとんどありません。しかし、近年海外では科学的根拠に基づいた健康志向が根付いているので、こんにゃくの機能性を科学的に示すことができれば、将来的に海外市場にも可能性が広がっていくのではないかと考えています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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