サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
錯視の科学(The Science of Optical Illusions)

開催日: 2026年7月30日

○活動の主旨、目的○
錯視は単なる「目の錯覚」ではなく、人間が複雑な環境を素早く正確に理解するために備えた高度な情報処理機能であるという視点から、遠近法や消失点などを交え、そのメカニズムを解説いただいた。
また、立命館大学・北岡博士の「エンボスドリフト錯視」やアインシュタインの特殊相対性理論との関係、キュピズム期のピカソの作品なども紹介され、「見ること」「認識すること」の奥深さを体感できる内容となった。
さらに、茶道における導線設計やユニバーサルデザイン、高齢者にも配慮したインターフェース設計、AR・VRやAIへの応用など、認知科学がデザインや医療、情報技術へと広がる可能性についてもご紹介いただいた。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

西本 博之 氏
大阪産業大学 情報デザイン学部 情報システム学科 教授
京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 非常勤講師

神戸大学大学院工学研究科計測工学専攻博士前期課程修了後、1987年に武田薬品工業株式会社へ入社。約30年にわたり製薬業界でシステム開発や臨床開発に携わり、電子的臨床試験データ収集システム(EDC)の開発・普及を推進するとともに、臨床データ標準化団体CDISC日本支部の設立メンバーとして医療データの標準化にも貢献した。 その後、京都工芸繊維大学、高知大学医学部附属病院、高知大学医学部において教育・研究に従事し、大阪産業大学非常勤講師、京都大学大学院医学研究科非常勤講師も歴任。京都大学発ベンチャーALGAN株式会社の創業メンバーとして産学連携にも取り組んできた。 2024年4月より大阪産業大学デザイン工学部情報システム学科教授。専門は医療統計学、認知科学、計測工学。近年は「錯視が紐解く視空間モデル」をテーマに、人間の知覚や認知メカニズムの解明に取り組み、医療・情報・認知科学を横断する研究・教育を進めている。

ナレッジドナーインタビュー

  • 錯視を意識したことがない人に向けて伝えたいメッセージはありますか?
  • 私が皆さんにお伝えしたいのは、「もっと自然をよく観察してほしい」ということです。
    そうすると、これまで気づかなかったさまざまな現象や不思議が見えてきます。そして、そこで感じた疑問に対して、「なぜだろう」「こういうことなのではないか」と、自分なりにあれこれ考えてみることが大切です。そのような思考実験から生まれた発想は、VR空間をはじめ、さまざまな分野へ応用することができます。
    何事も社会の役に立つはずだと思って、日々疑問を持ち、自分なりに仮説を立て、その答えを探していく。そうした思考実験を繰り返していくことが、とても大切だと伝えたいです。
  • 今後の展望をお聞かせください。
  • 講演の終盤でご紹介した杉原厚吉教授の「球体の式」は、将来的にさまざまな分野への応用が期待される研究成果だと感じています。今後、量子コンピュータをはじめとする先端情報技術の発展の中で、新たな可能性が見いだされるかもしれません。
    また、私たちの身の回りの何気ない日常の中にも、杉原教授が探究されてきた「錯視の原理」が隠れています。そうした現象を丁寧に見つめ直し、その仕組みを理解していくことで、将来的には、「錯視の原理」が高速コンピュータの新たな仕組みに活用されて、これまでにない技術の発展に貢献するかもしれません。そんな未来にも期待しています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

開催済みのプログラム

サロンイベントレポート一覧へ戻る

PAGE TOP