ナレッジイノベーションアワード

ナレッジイノベーションアワード

選考委員

河口 洋一郎

河口 洋一郎

選考委員長

東京大学大学院情報学環 教授 / CGアーティスト

コンピューターグラフィックスの世界大会「シーグラフ」で高く賞賛された世界的CGアーティスト。

中高生へメッセージ
『生命知のインテリジェンスへ』〜中学高校の夢が基本〜
生まれ育った青い海や珊瑚礁、色彩豊かな魚に囲まれた種子島の環境が、私の生き物へのネイチャーテクノロジーの関心を育んだのかもしれない。赤や黄、緑などの色とりどりの魚の紋様に、なぜこんなに美しい紋様が生まれるのだろうか?しかも、どんな味がするのだろうか?成長のプロセスは?疑問が尽きなかった。生物の進化や遺伝をいろいろ夢想するのに絶好の環境だった。この疑問が、将来コンピューターグラフィックスでの映像とシミュレーションへの関心に繋がってきた気がする。種子島にはアカヒゲと呼ばれるさえずりが美しい赤い鳥がいる。小川のせせらぎで遭遇すると感動ものである。コマドリの近似種として不思議な存在で、サバイバルする自己進化の面白さが存在する。中学・高校の時、アマゾンのジャングルには見たことのない美しい鳥がいるかもしれないと考え、世界地図を広げて夢想する日々に明け暮れ、将来、是非訪れたい願望を持ち続けた。アートを生命体として考えるとサバイバルである。結果的に、アマゾンの密林やパンタナールの大湿原に何回も訪問ができ、ビラニアやワニと格闘できたのは幸い!種子島には宇宙センターができ、宇宙が近くなった。大空の彼方に飛んでいくロケットを眺めながら、宇宙探検に行く夢を中学・高校の頃には持ち始めた。やがて惑星探検しながら、未知の生命体に遭遇する夢へと拡がって行った。宇宙に生命は存在するのか?生命知のインテリジェンスの進化はどう起きるのか?惑星探検の夢は、自ら自己組織化する芸術生命体を考えるきっかけに繋がっている。

伊藤 恵理

伊藤 恵理

日本学術会議 連携会員 / 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 / 電子航法研究所 主幹研究員 / 国際航空科学会議(ICAS) 常任委員

「空は一つ」をモットーに、世界の空を駆けながら、空の旅の裏側に広がる航空管制を科学する研究者。

中高生へメッセージ
子どもの頃の私は、「働く女性」に憧れる女の子でした。初めて憧れたのは、国連の難民高等弁務官を務めた緒方貞子さん。英語でスピーチしている彼女の姿をテレビで見て「かっこいいなあ!」と感動しました。その影響で、将来の夢は「国連の弁務官」と小学校の卒業文集に綴っています。世界で活躍する女性になりたいと、未来を夢見たのです。次に憧れたのは、ジブリアニメ「紅の豚」に登場するフィオ・ピッコロさん。彼女は、飛行機のエンジニアで、主人公のパイロットが操縦する飛行機をつくったのです。「めちゃくちゃかっこいい!」と、私はまた感動してしまいました。空を見上げれば、飛行機雲が流れていきます。あの飛行機はどこに飛んでいったのだろう? 飛行機に乗れば、私を新しい世界に連れて行ってくれるに違いない。そこには、どんな世界が広がっているんだろう? まだ見ぬ大きな世界へのワクワクと、自由と冒険の象徴だった飛行機に魅せられて、少女は大人に成長し、飛行機と空の旅にかかわる「航空管制」の研究者になりました。今では、子どもの頃に夢みたように、国連の専門組織が開催する民間航空機の会議で、英語の発表をすることもあります。“夢なき者に理想なし 理想なき者に計画なし 計画なき者に実行なし 実行なき者に成功なし 故に、夢なき者に成功なし”これは、私の好きな言葉です。未来を夢みること。そのパワーこそ、未来の扉を開ける原動力なのです。

遠藤 諭

遠藤 諭

株式会社角川アスキー総合研究所 取締役 兼 主席研究員

雑誌編集をはじめとして、ビジネスからサブカルまでの評論や執筆活動を行っている。

中高生へメッセージ
“「みんな」のことを考えることが、つまり「仕事」”
最近は「伝記」シリーズの中にアップルの創業者スティーブ・ジョブズが入っていたりします。そうです、世界的な人気製品である「iPhone」の生みの親です。世の中には、自分の子どもに「伝記」を読ませたくないという保護者の方もおられるそうで、なるほど、伝記になるような人は世の中の出世コースからは外れたといえる人が多い。スティーブ・ジョブズもその典型で、学校の成績がバツグンだったのかというとそうではないらしい。それじゃ、コンピューターの天才か?というと、『ハッカーズ』という彼が活躍しはじめた頃に書かれた本を読むと、むしろそうじゃないと書いてある。それでは、なぜジョブズは、どうやってあれだけのすばらしい仕事ができたのかというと「これから世の中を変えるであろうコンピューターを人々に届ける」ことを考えたからだろう。ジョブズが、25歳で自分の会社を株式公開したとき、当時の新聞は、彼をヘンリー・フォードに例えた。自動車の発明者ではないけど、みんなが自動車に乗れるように値段がやすくて使いやすい「T型フォード」を作った人ですね。仕事としてやっていくには、大成功ではなくてもある程度はうまくいかないと続けられない。ジョブズは、ほかのコンピューターの作り手たちと何が違ったのか?「作る」ことではなく「届ける」ことを考えた。自分が考えた仕事を将来の仕事にするには?「みんな」のことを考えることが、つまり「仕事」ということを理解することです。

塩瀬 隆之

塩瀬 隆之

京都大学総合博物館准教授 / デザイン学ユニット / 学術研究支援室 参与

心理学や科学などの観点から「伝わるとは何か」という本質的な問いを研究している。

中高生へメッセージ
「好きなことと選んだ仕事との距離を縮める力」をぜひ身につけてもらいたいです。いまの仕事が10年後も20年後も存在するかどうかを心配するのは、時間の浪費です。好きなことを仕事に選べるかどうかも、それはスタート地点のちょっとした差でしかありません。「好きなこと」も自分自身の成長にそってどんどん変化するかもしれませんし、選んだ仕事も期待通りかどうかもわかりません。自分が望むと望まざるとにかかわらず、きっとそこにはズレが存在し、そのズレも時々刻々と変化していきます。しかしこのズレを前にして、好きなことに目をつむってしまいそうになる瞬間が訪れることがあります。イソップ寓話にある「すっぱい葡萄」の物語では、美味しそうな葡萄を見つけたキツネが何度跳んでも届かない葡萄に対して、「どうせすっぱいに違いないからあんなもの欲しくない」と捨て台詞を吐いてその場を去ってしまいます。このズレの前に誰もが諦めたくなる気持ちを表した寓話です。このズレに立ち向かう力の一つが、学ぶ力です。どんな仕事をしていても、必要とされる力はその都度かわります。その変化に適応できるかどうか、どんなズレだとしても埋めようとする気持ちが大切です。人一倍学ぶことで、人一倍自分の好きなことに近づけることができるはずです。「好きなことと選んだ仕事との距離を縮める力」、これがあれば今考えたどんな仕事も未来の仕事として実現するでしょう。

清水 陽子

清水 陽子

アーティスト / 研究者

バイオテクノロジーなど先端科学を使う技術やデザインを研究し、世界で発表しているアーティスト・研究者。

中高生へメッセージ
小さい頃から自然と生き物が大好きで、その美しさに惹かれていました。また、京都やニューヨークなど、日本や海外の芸術に触れながら育ったので、様々なアートのレッスンも受けてきて、芸術家になりたいなとも思っていました。大学は理系の生物学を選択するか、文系の芸術大学を選択するか悩みましたが、生命の美しい構造や仕組みを大学の研究設備で学びたかったので、生物化学を選びました。まだ科学と芸術をどう組み合わせればいいのかわかりませんでしたが、とにかく好きなことは何でも学んでみようと思いました。卒業後、制作会社でクリエイティブ・ディレクターとして経験を積んだ後、もともと好きだった科学と芸術を組み合わせたプロジェクトを個人的に立ち上げ、発表するようになりました。最初はあまり受け入れられず、「科学と芸術に何の関係があるの?」とよく言われましたが、やがて賞をいただいたりメディアで取り上げていただくようになりました。今はバイオデザインのラボを運営して、国内や海外のミュージアム、ギャラリー、イベントでの展示や、企業や大学とのコラボレーションやメディアでの活動へと広がり、毎日ワクワクした気持ちでいっぱいです。未来の仕事を考える時、やってみたいことは、まだ世の中に存在しない仕事かもしれません。失敗を恐れずに何でもチャレンジして、興味のあることは何でも学んで、かけがえのない人生そして未来を是非切り開いてみてください!

村上 憲郎

村上 憲郎

村上憲郎事務所 代表 / 前Google日本法人名誉会長

Googleをはじめとする日本、外資系企業などで経営にたずさわっている。

中高生へメッセージ
自分自身、中学生や高校生の頃に「将来どのような仕事につきたいか」を考えていたかどうか、正直、自信はない。ただ、高校1年の担任で数学の先生だった宮崎大吉先生に、相対性理論や量子力学といった、良くは解らないが、とにかく摩訶不思議で、しかし、わくわくするような先端的な物理学への目を開かされて、結局、理科系の道を歩むこととなった。70歳の現在に至ってやっとではあるが、たまたま量子コンピュータといった関連分野の仕事にも携わらせていただいており、幸運なことだと感謝している。私は、そのような僥倖に恵まれたが、皆さんもいつの日か、何かわくわく胸躍るようなものに出会えることを信じ、出会えたらそこから更に、そのわくわくするものに関連した仕事に携われるということを信じて、そのわくわくするものに関する書籍を毎日、少しづつでも良いから読み続けて、仕事として携われる日に備えて生活されることを、お薦めします。私も、50年以上過ぎてからとなりましたが、毎日、わくわくしながら仕事させていただいております。

安田 洋祐

安田 洋祐

経済学者 / 大阪大学大学院経済学研究科 准教授

ゲーム理論の観点から現実社会を分析し、様々な制度設計を研究している経済学者。

中高生へメッセージ
中高生時代は部活動のサッカーに熱中していて、学者を目指そうとは全く考えていませんでした。ただ、当時抱いていた身近な疑問の一つが、いま研究している経済学とつながっています。その疑問は「世の中の人は、誰から命令されるわけでもなく好き勝手に行動しているのに、なぜ(日本)社会はうまくまわっているのだろう。」というものでした。特に、コンビニやスーパーなどに行くと商品があふれていて、みんなが買いたいものがきちんと買える。つまりモノの世界の秩序が保たれていることが不思議だったです。「そんなの当たり前じゃん!」と思うかもしれませんが、消費者が欲しいモノや企業が作れるモノに関する情報を賢い人(今だったらAIかも)が集めて計算したわけではないのに、きちんと必要なモノが行き届く世界って、冷静に考えるとメチャクチャ凄くないですか?もちろん、当時は疑問に自分で答えを見つけることはできず、いつの間にかそんな疑問を抱いていたことすら忘れてしまったのですが、大学に入ってミクロ経済学という講義を受けたときに、その答え(にとても近い説明)と出会い、一気に視界が広がりました。この時の感動と興奮が、学者を目指す決定的なきっかけになったと思います。月並みでちょっぴり強引ですが、何ごとも当たり前だと思わずに、何かに気付いたら素朴な疑問をぶつけてみると、皆さんの将来がエキサイティングなものに変わるかもしれません。

※五十音順

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