第6回イノベーションアワード

好きを追求したら

新しいお仕事をしている多方面のトップランナーからのメッセージです。これらのメッセージには、未来の仕事を考えるためのヒントが沢山つまっています。あなたの想像力を発揮して、中学生・高校生アイデアコンテストに是非取り組んでみてください。

池永 寛明 氏

池永 寛明 氏

大阪ガス エネルギー・文化研究所 所長
お仕事の分野
まちを元気にする = 過去 × 現在・未来、内(自分) × 外(相手)

都市や学校や病院や工場や家にエネルギーをお届けするとともに、都市が元気になるためにできることを考え、お客さまとともに行動しています。


人は「自分中心」「自分基準」に考え、行動しがちです。たとえばモノを売るときも「モノ」のことばかり考えてしまいがちです。しかし本当に大切なのは「相手の人」ならば、そのモノを使う「お客さま」ならばどう思うだろう、どう感じるだろうと、「相手の人目線」「お客さま基準」で仕事をすることです。創造と想像という漢字はともに「そうぞう」と読みますが、2つの漢字の意味はちがっています。自分がいいと思う価値観で考えて新たなものをつくるのが「創造(クリエイト)」で、お客さまが喜ばれている姿(像・イメージ)を心に浮かべて物事を考えるのが「想像(イマジン)」というように、同じ「そうぞう」でも意味がちがっています。仕事をするということは、お客さまの幸せな姿をイメージする想像(イマジン)力を発揮して、自分がいいな、素敵だなと考えるオンリーワンのものを創造(クリエイト)していくことです。「想像×創造」を発揮して、社会のなかのたくさんの笑顔をつくろう。

内山 昭一 氏

内山 昭一 氏

昆虫料理研究家
お仕事の分野
料理 × 昆虫

昆虫料理研究家。味覚、食感、栄養等あらゆる角度から食材としての昆虫を研究。各地で試食会を開いている。


私は子供の頃(1950年~60年代(長野の豊かな自然に囲まれて育った。一人っ子だったこともあり、昆虫が遊び相手だった。初夏、水田に水が入り、代かきをする馬の後をついて歩くと、地下にトンネルを掘って暮らすケラがどんどん浮かび上がってくる。それを無我夢中で捕まえた記憶が今でも新しい。用水には生き物が溢れていた。小学校が夏休みになると毎日フナ、ドジョウ、ナマズをザルで捕った。飛び跳ねるフナの腹の銀色が鮮やかに目に浮かぶ。午前に捕った獲物は昼飯のおかずになり、午後に捕った獲物は夕飯のおかずになった。捕って食べることの楽しさ、美味しさをこのとき知った。私の昆虫食の原点はここにある。毎年実施する「セミ会」はこのことを実感できる人気イベントになっている。今年は運悪く台風と重なり、キャンセルが続出するかと思いきや、一年ぶりの懐かしい顔が次々と現れた。そんな好奇心溢れる魅力的な仲間と美味いセミを食べながら語り合う。このことが日々の活動の源泉となっている。

工藤 剛史 氏

工藤 剛史 氏

音羽電機工業株式会社 新規事業室 担当部長 博士(理学)
お仕事の分野
地球科学 × 電気工学

雷のことが大好きで雷対策専門メーカーに入社し、仕事をしながら博士になり、会社で雷の研究をしています。


学習塾からの帰り道、夜空を照らす雷光に怯えながらも積乱雲の起こす激しい気象に興味を持ったことが、雷好きである私の原点です。将来は天気に関わる仕事がしたいと思い、気象・気候学専攻のある大学に入学し、関東地方で発生する雷雨について研究しました。「雷に関する仕事がしたい」という1点で、雷対策専門メーカーに入社し、電気工学を学び、建物や電気設備を雷被害から守る技術者になりました。国際学会に参加した際、知識不足を痛感し劣等感を感じた私は、雷の専門家になるため、最も得意で興味のある理学分野で、“雷”博士になることを決めます。宇宙理学専攻の大学院に入学したこともあり、宇宙の渚(地球と宇宙の間)で発生する雷現象や他の惑星の雷などの広い知見を得ることが出来ました。大学院での研究とその時得た知見が、モノ作り以外の会社の新しい取り組みに繋がっています。「雷」をキーワードに、新しい仕事を作ることが、今の私のミッションです。

清水 陽子 氏

清水 陽子 氏

アーティスト、ディレクター、生化学研究者
お仕事の分野
科学 × 芸術

バイオテクノロジーなど先端科学を用いた技術やデザインを研究し、世界で発表している研究者・アーティスト


小さい頃から自然と生き物が大好きで、草花や生物を採取したり描いたりしていました。また、京都やニューヨークなどの芸術都市で育ち、アートのレッスンも受け、芸術家にもなりたいと思っていました。大学では生命の美しい構造や仕組みを学びたかったので、科学系の分野の生物化学を選びました。卒業後は、制作会社でクリエイティブ・ディレクターとして経験を積んだ後、大好きな科学と芸術を組み合わせたプロジェクトを個人的に立ち上げ、発表するようになりました。最初は「なぜ科学と芸術なのか?」と疑問に思われることが多かったのですが、やがて賞をいただいたりメディアで取り上げていただくようになり、今はバイオデザインのラボを運営して、国内外のミュージアム、ギャラリー、民間企業、大学、地方自治体、メディアでの活動へと広がっています。大好きなことを追求することで、自分でも想像できなかった世界が広がり、毎日ワクワクしながら活動しています。皆さんも是非自分の大好きな世界を開拓してみてください!

瀬尾 拡史 氏

瀬尾 拡史 氏

医療CGプロデューサー / 医師 / 株式会社サイアメント 代表取締役 / 東京大学大学院 情報理工学系研究科 学術支援専門職員 / 京都造形芸術大学 客員教授
お仕事の分野
医療 × 3DCG

3DCGと医療・医学の両方の知識と経験を持つことで、3DCGを医療・医学に役立てようとしています。


中学2年生のときに所属していた学校のパソコン部で3DCGが文化祭のテーマになり、3DCGプログラミングを勉強していた同じ年に、たまたまテレビで観た「NHK 驚異の小宇宙人体」という番組に感動しました。当時最新の3DCGを用いて体の中の様子が美しく、楽しく表現されており、自分が勉強している3DCGにこんな使い方もあるのか、と感銘を受けました。その3年後、高校2年生の学校の生物の授業で補助教材として同じ番組を観る機会があり、学術的にもきちんと正しく作られていることを実感し、自分の将来像が決まりました。大学では医学部に行きながら3DCG制作も学び、医師として2年間働いた後、医療×3DCGを実現させるべく活動しています。当時の自分は目の前のことにただただ全力で取り組んでいただけですが、大人になって振り返って初めて、あらゆる偶然や、当時勉強していたことが今の自分に結びついていることに気付けるのです。

本田 隆行 氏

本田 隆行 氏

科学コミュニケーター
お仕事の分野
科学 × 社会

大阪府出身。科学と社会を繋ぐ「科学コミュニケーター」として、全国各地で活動中。惑星科学の研究(大学院)→地方公務員→科学館→フリーランスという節操のない経歴の持ち主。


私は小学校の頃から宇宙が大好きで、それと同じくらい自分の住むまちのことも大好きなのでした。興味を一つに絞ることができなかった私は、その道を極める“学者”の道に進む覚悟はできませんでした。ならばと地元の公務員になってまちのために働きましたが、何かずっと心に引っかかったままでした。「好きなことを全部まとめて仕事にできないか?」自問自答した私が探し当てたのが、科学と社会をつなぐ橋渡し役となる「科学コミュニケーター」でした。聞きなれない職業でしたが、目指すことに迷いは全く感じませんでした。みなさんは、夢や目標を持ったらそれ以外のことは諦めないといけない…と思っていませんか?いやいや、気になることは全部やってみてもいいじゃないですか。やってダメだったら他の方法を考えればいい。欲張ることって、素晴らしいことです。覚悟を決めてどんどん欲張ってみたら、きっと誰もみたことのない世界が広がってきますよ。

本多 達也 氏

本多 達也 氏

富士通株式会社 UIデザイナー
お仕事の分野
デザイン × テクノロジー

デザインとテクノロジーを用いて聴覚障がい者の方が音を感じる装置を研究開発しています。


私は髪の毛で音を感じる装置Ontennaを研究開発しています。大学1年生のときにろう者の方と出会ったことがきっかけで手話の勉強を始めるようになり、手話通訳のボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立など、ろう者の方と一緒に様々な活動を行ってきました。大学時代にデザインやテクノロジーの勉強をしていた私は、それらを用いて音を感じる新しい装置をデザインしたいと考え、ろう者の方と一緒に研究をはじめました。ろう者の方々は耳が聞こえない分、身振り手振りで思いを伝えたり、表情で感情を伝えるスペシャリストです。手話を使えば窓越しに会話することも、こっそりお話することも可能です。そんな自分にはない能力を持った方々と一緒に研究したり活動したりすることがとても楽しいです。是非みなさん、周りのお友達のスペシャリストな部分を見つけてあげてください。自分だけでは思いつかないアイデアがきっと見つかるはずです。

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