東京大学大学院情報理工学系研究科
葛岡・鳴海研究室

展示内容

ゴーストエンジニアリング:あなたの能力を引き出すアバターの力

展示内容01
展示内容02

バーチャルリアリティ(VR)の世界で和太鼓を演奏してみましょう。その時、自分や他人のアバター(VR世界での身体)は、演奏の仕方にどのように影響するでしょうか? 無意識的にあなたの行動や能力発揮を変えるアバターの力を体験してください。

※展示内容は予告なく変更される場合があります。予めご了承ください。

インタビュー

人を理解して、人と関わる技術に活用し、社会の中で役立てる方法を探る

東京大学情報理工学系研究科
知能機械情報学専攻 博士課程 胡永澔 (フーヨンハオ)

開発中だからこそ見てもらう意味がある。

:ザ・ラボに参画された目的を教えてください。

多様な背景を持った来場者の皆様に最新の研究成果に触れていただき、貴重なフィードバックを得ることで研究を加速させたいと考えたためです。現在展示している研究は、情報技術と認知科学や社会心理学を組み合わせて、人に対する理解を深め、それを活用して人の能力をより引き出す技術として活用したものです。展示を通じて皆さんが感じたことを、これまで行ってきた実験室での実験の結果と比較して考察するだけでなく、このような人への影響の強い技術が実際の社会でどのように受け止められるのかを観察し、役に立つ形で使ってもらう方法はどのようなものかを一緒に考えていきたいと思っています。

:具体的に、この場でどういった活動をされてきましたか?

これまでに東京大学葛岡・鳴海研究室からは、五感の相互作用クロスモーダル を利用した多感覚バーチャルリアリティシステム、擬似的な身体反応のフィードバックを利用したる感情喚起システム、身体から生えてくる分身ロボットなどの研究に関する体験を展示してきました。
現在はアバターの使用による行動変容に関する体験を展示しています。アバターの使用がユーザの態度や行動に影響を与えるという現象はプロテウス効果と呼ばれ、例えば音楽的素養をイメージさせる外見のアバターを使うことでジャンベ(アフリカの太鼓) 演奏の際の動きが活発になるなど、さまざまな影響が確認されてきました。こうした先行研究では、自分が使うアバターの影響だけに着目した検証がおこなわれてきていますが、現実の社会ではわれわれは自分と他者を比較することで自分らしさや自分の特徴を認識しています。
そこで私たちは、メタバースのように多人数がアバターを使って活動する場において、他者との社会的な相互作用がプロテウス効果をどのように増強/ 低減させるかを調べることにしました。
この展示では、自分と他人のアバターの外見を無意識のうちに比較することで、プロテウス効果が与える行動変容がどう修飾されるかを体験することができます。体験者は、VRの中で周囲のNPC (ノンプレイヤーキャラクタ) と一緒に、法被またはスーツを着たアバターを使用して和太鼓を演奏します。演奏中、システムは体験者の体の動きを常に記録し、演奏動作の活発さを算出します。自分とNPCのアバターがどの組み合わせの時に演奏動作が最も活発になるかを、皆さんの体験を通じて検証していきます。

最新技術と感性の融合を積極的に。

:展示や活動を通じて、期待していることって何ですか?

VRやメタバースの普及が進み、そこで用いられるアバターが持っている効果や可能性が研究で示されはじめている中で、一般の人々がアバターの持つ可能性をどのように受け入れ、生活の中で活用したいと考えるかを理解したうえで研究開発を進めなければ、アバターに関連する研究や技術は健全に発展しないかもしれません。研究者だけでなく、これから実際にアバターを生活の中で使用するかもしれない一般の人々の意見やフィードバックを受けながら研究の方向性を修正し、社会受容性の高い技術を開発していきたいです。
「研究のための研究」や一時的なブームを超え、実際に人々のニーズに応える研究や社会に根付くための技術開発へとつながる洞察が得られることを期待しています。また、研究者では思いつかないVR/ メタバース/ アバターの新しい可能性も発見されるかもしれません。

基本情報

企業・団体名 東京大学大学院情報理工学系研究科 葛岡・鳴海研究室
ホームページ http://www.cyber.t.u-tokyo.ac.jp/ja/
展示スペース The Lab. 3階 (グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル3階)

展示内容

フロアマップ

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