キルギスの伝統的な騎馬ゲーム、クズクーマイ(Kyz Kuumai)について初めて耳にした旅行者の多くは、「男女が馬で追いかけ合うとは、なんてロマンチックなゲームなんでしょう」と微笑みます。きっと、絵葉書にあるような雄大な山々を背景に、気軽で遊び心あふれたゲームが行われる光景を思い描くのでしょう。もちろん楽しい側面もありますが、他の遊牧民の伝統と同様に、品格や誇りを育み、多くの言葉を交わさずに互いを知る術を学ぶ場でもあるのです。
クズクーマイとは、文字通りには「娘を追いかける」という意味です。若い男女が馬に乗って横一線に並び、まず女性が先にスタートを切って、男性がそれを追いかけます。女性がゴールに着くまでに追いつくことができたら、女性に触れることが許されます。これは地域の慣習によって異なり、キスが許されることもあれば、肩に触れるだけの場合もあります。追いつけなかったら、観光客にとって忘れがたい後半戦が始まります。女性が方向転換して男性を追い、追いついたら、男性を乗馬用の鞭で打つことができるのです。観客は大いに沸き、手加減してもらえるかどうかは彼女の気分次第です。
私は、クムス(馬乳酒)や焼いた肉の香りが漂い、丘に響き渡るほどの大音量で音楽が流れる祭りの会場でクズクーマイを観戦しました。開始前には、鮮やかな衣装を着た騎手や誇らしげな馬を、アリーナのように緩やかな円を作って群衆が取り囲み、まるで劇場のような光景が広がります。しかし、いざゲームが始まると、会場は一気に緊迫感に包まれます。馬たちは体をめいっぱい伸ばし、皮膚の下で筋肉がロープのように躍動し、蹄を地面に食い込ませながら疾走します。青年は前傾姿勢でスピードを上げ、絶好のタイミングをうかがいます。一方の女性は、恐れを知らない優雅さをまとって駆け抜けます。クズクーマイの女性は、ただ追いかけられるだけの存在ではありません。相手を品定めし、挑発し、その力量を見極めているのです。
この地で育った人なら、説明されなくてもこのゲームに込められたメッセージを読み取ることができます。これは、馬や身体のバランス、勇敢さが重要視されていた時代に由来する伝統です。大草原での暮らしにおいては、躊躇っている余裕などありません。クズクーマイはそんな教訓を遊びに昇華したものですが、駿馬を操ることができるか、人々の視線が集まる中で冷静でいられるか、負けて鞭で打たれることになってもユーモアを失わずにいられるか、といったいにしえの価値観は今も息づいています。
そういうわけで、私は旅行で訪れた人にはこう説明します。「クズクーマイは、単に女性を捕まえるゲームではなく、ふたりの騎手の誇りと誇りがぶつかり合い、スピードと技術がせめぎ合って生まれるリズムを楽しむものだ」と。男性が勝利すると観客の喝采を浴び、負けて罪を犯した泥棒のように追いかけられると、草原に笑い声が響き渡ります。結果に関わらず、観戦後には、草原に伝わってきた伝統の一端に触れたという感慨に浸るのです。
クズクーマイはロマンスとも喜劇とも、あるいは競技とも捉えることができますが、私にとってはキルギスの伝統がどのように機能してきたかを思い出させてくれるものです。キルギスの人々は言葉で語るのではなく、馬を通した実践から学ぶのです。
- 2026.03.10
- クズクーマイ
