- 2015.10.30
- ローマ教皇の訪米
先日、ローマ教皇がアメリカを訪問されました。キューバに始まりワシントンDC、ニューヨーク、そしてフィラデルフィアと訪問され、アメリカは国中が何日も前からローマ教皇一色になりました。ローマ教皇といえば、ローマ・カトリック教会の最高位の司教なので、日本仏教で言うと阿闍梨、神道では伊勢神宮の宮司そして天皇陛下というイメージなのか?とぼんやり考えていたのですが、ちょっと違うようですね。街灯に掲げられている旗はアメリカ合衆国国旗 バチカン市国国旗、ワシントンDC市旗 宗教上は同じなのでしょうが、規模が全然違いました。カトリック教会の信徒は世界中で約12億人とされ、数ある宗教の中で最大信徒数を誇ります。プロテスタントの友人に「プロテスタントの信者はローマ教皇を敬うのか?」と聞くと、その多くは「カトリックほどではないが、敬う。ただ、それほど興味があるかと言われると、“微妙”」とのことです。カトリックはおろかキリスト教徒ですらない私。信仰する人たちの「教皇にお会いしたい」という一途な思いとは全く違いますが、それでも「一生に一度お目にかかれたら光栄」という気持ちは同じですから、少しだけ雰囲気を味わう為にも出かけました。パレードを見終えて駅へ急ぐ人々。人の多さが伝わりますでしょうか。 後日訪れた、ミサの行われたアメリカカトリック大学内にあるBasilica of the National Shrineof the Immaculate Conception 教皇の通る道路は全て規制され、近づける場所は手荷物検査を通過しないと入れず、持っていたマザーズバッグの中身はオムツの一つ一つまで細かくチェックされました。熱狂的な信者たちの中には、中南米からこの日の為に会いに来ていたり、他州から徒歩で何日もかけて来る人がいたり、全ての旅行のスケジュールを教皇の動きに合わせている人が多くいました。全米のテレビ局が処せましとカメラを並べてリポートしている様子に、アイドルの追っかけをしたことはありませんが、こんな感じなのだろうなと人の波に揉まれながら感じました。教皇が動けば信者が動き、信者が動けば商売をしている人達がこのチャンスを逃すまいとグッズを持って動き、そして反キリスト教徒もここぞとばかりに演説を繰り返す。彼の言葉ひとつで国ひとつどころか、世界が動く。アメリカにいると良くも悪くも「日本はとても小さな国だ」ということを実感する機会が多々あります。国中から、そしてアメリカ大陸全土から、ただ一瞬お顔を拝む為だけに訪れる人々、そしてお顔が見られずとも生中継のお言葉を聞いて涙を浮かべる人々を見て、世界最古にして最大の組織の長の偉大さをしみじみと感じました。