やっとベルリンも暖かくなりました。街が暑くなるとベルリン市民は涼を求めて自然の中へ出かけてゆきます。私も週末などを利用して街から出ますが、ベルリン郊外は湖が多いのが特徴で、
特別な魅力があります。夏の陽光が照り始めると、あらゆる日常が外へその場を移します。カフェやレストランが外に並べたテーブルは混み、公園では誰もが太陽を浴びています。冬と違って、人々はオープンで、機嫌が良くて、いつもよりおしゃべりです。ベルリンの夏があまり長くないので、皆はこの短い季節を無駄にしまいとしているかのようです。私は個人的に夏以外の季節が好きですが、それにしてもベルリンの夏はとても独特の雰囲気があります。屋外プールが少なくありませんが、湖で泳ぐこととは比べることができません。先週末、私は、今年始めてハーフェル川に行きました。私にとっては泳ぐためには水がまだ冷たすぎましたが、それでも水辺にいるだけでとても気持ちがよいです。ハーフェル川の中州に位置するファウエンインゼル(孔雀島)、たった500メートルの幅で長さ1500メートルと、小さな島ですが、とても美しい場所です。渡し場の近くまでは、バスか車も便利ですが、天気の良い日には、自転車でも簡単に行くことができ、そこから小さなフェリーに乗れば、このメルヘンチックな世界へ渡ることができます。この小さな島は、河畔からあまり離れていませんが、何世紀にも渡り、人々は接近することが許されていませんでした。そもそもこの島には 選帝侯の国庫を潤す養兎場があり、30年戦争の後にはしばらくガラス工場がありました。その後、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世(Friedrich Wilhelm II)の命を受け、白い宮殿が1794年から1797年にかけて建設されました。この宮殿は今まで島の様相を特徴づけるものとなっています。この宮殿は今日に至るまで島の様相を特徴づけるものとなっています。この辺鄙な島にある小さな宮殿で王は、情婦と会ったり、静けさを満喫するために引きこもったりしていました。遠くから見ると小さな城のように見えますが、近づいて見ると、石造りに見えるよう塗料の塗られた木製の建物です。
二つの塔が間の建物の枠を描き、この二つの塔を繋ぐ上部の橋は、今でこそ鉄製ですが、昔は木で出来ていました。はりぼてのような造りの城ですが、内部は豪勢で、特に大広間には古典主義的な趣向が見て取れます。ファウエンインゼル島全体は有名な造園家ペーター・ヨーゼフ・レンネーに設計されたものですが、庭園というよりも自然のままという感じがします。イギリス庭園をモデルとして1821年から1834年にかけて造られた庭には、色々な動植物が持ち込まれました。当時は珍しかった猿やカンガルー、ライオンなどが居ましたが、1842年にベルリン動物園へ譲られました。
島には宮殿の他にもいくつかの建物と大きな鳥小屋があります。しかし、この島の名称となっているその鳥は、この鳥小屋に限らず目にすることが出来ます。島のどこに居ても、この美しい生き物は、長い尾羽をなびかせ、ゆっくりと、そして優雅に往き交っています。
芝生は踏んではいけないことになっていますが、一カ所のみ座る為の広場は例外で、飲食物を扱う小さな売店があり、太陽を浴びながら休むことが出来ます。この無人の島には庭師が住んでいますが、彼らの仕事を手伝って立ち入り禁止地区の芝生を短く保つのは4匹の水牛です。
このまるで自然の中に居るような幻影をもたらす景観を前にして、いにしえの王たちのように数時間ばかり別世界に浸るためには、ファウエンインゼルへまで足を伸ばす価値があります。