平穏な休暇の季節も終わり、いつのまにか今年最初の月も
どこかへ行ってしまいました。皆いつも通りの仕事の生活に戻っていますが、クリスマスの時期を振り返ってみたいと思います。今年はベルリンでは、いつもの平穏とは少し遠いクリスマスになりました。クリスマスマーケットはとても人気がある、ドイツのどの町にもあるものです。もちろんベルリンにも、色々なクリスマスマーケットがあります。その種類は、典型的で古典的なタイプから、クリエイティブなアートマーケットまで様々です 。少し変わったクリスマスマーケットに、数年前から大きなホールで開催されているジャパニーズ・クリスマスマーケットがあります。そこでは日本料理やクラフト製品、アート作品などが扱われています。他にも、 書道、折り紙、墨流しのワークショップ、踊りや音楽のパーフォーマンスがあります。ベルリンの日本人コミュニティーと 日本人のアーティストにとって、このクリスマスマーケットは自分の作品や活動を知ってもらうチャンスです。逆に日本 に興味を持つ人々は日本の文化をここで俯瞰することが出来ます。
左:私も好きですが、皆に人気があります。たこ焼きスタンドです。
右:踊りのパーフォーマンス
待降節の第一週末からクリスマスまで続く一般的なクリスマスマーケットと違い、ジャパニーズ・クリスマスマーケットのような特別なマーケットは一つの週末だけの短いイベントです。伝統的なクリスマスマーケットではクリスマス・ツリーの装飾など、主にクリスマスらしい製品を販売するスタンドが多く出ています。その他にも、クリスマスに典型的な食べ物や飲み物が提供されます。その中で一番有名なものは間違いなくグリューヴァイン(Glühwein)です。家でも作ることのできる暖かいワインにはスパイスが入っており、このスパイシーなワインの香りを嗅ぐと、クリスマスの季節が来たと感じます。食べ物は、甘いものが多いです。特にロースト・アーモンドの匂いがマーケットや街角に漂います。
雪玉という伝統的なスイーツを販売するスタンドです。
しばしば見かける光景ですが、私も仕事の後に同僚たちと一緒に、勤務先の近くにあるクリスマスマーケットへGlühweinを飲みにいきます。私たちの職場に一番近いのは、昨年テロ攻撃が起こった記念教会の周りのマーケットです。テロのあとの二日間、ベルリン中の全てのクリスマスマーケットは閉まったままでした。しかし、マーケットは再開されることになりました。これは屋台を生業とする人々にとって、大切なことです。何より、このような行為に普通の生活を妨げさせないという、決意の表明でもありました。街にも、クリスマスマーケットにも、不安は感じられません。人々は相変わらず一日をこなし、日々を 過ごしていくだけです。多くの人は、いつかはここでも起きることだろうと考えていたようです。我々は日常的にテロ行為が起きていることを知っていますから、それが少し離れた場所や他の国であるか、自分の街であるかという違いは、起きることの重大さと関係がないのです。
現場の周りには世界中からテレビ局のバンが停まっている
テロそのものよりも、これを機会にと喰らいつき、自らの目的のために犠牲者を道具にする右派ポピュリズムの方が、恐るべきものなのではないでしょうか。