• 2026.01.13
  • タスマニア旅行記②:自然と共にある時間
タスマニアを訪れて感じた事の一つは、「自然が、人よりも一歩前を歩いている場所だ」ということです。都市の喧騒や人工的な便利さから離れ、自然そのものの力と静けさが主役になる時間は、旅の中で特別な意味を持ちます。今回の旅では、まさにその自然の懐に抱かれるような体験がいくつもありました。

■ マウンテン・ウェリントンで出会った“春の雪”
10月末、季節は春。シドニーでは日差しも強くなり、半袖で歩けるほどの陽気です。しかし、タスマニアに降り立った瞬間、その感覚は一気に覆されました。寒いとは聞いていたけれどもう10月だしと甘くみていたら、気温はシドニーより10度ほど低く、空気はひんやり、ヒートテックが手放せない旅になりました。
ホバートの街から車で山道を登り、マウンテン・ウェリントンの頂上に着くと、そこはまるで別世界でした。猛烈な風が頬を打ち、耳元でゴウゴウと鳴り響く。体ごと持っていかれそうな強風に思わず踏ん張ると、その風に乗って、白いものがふわりと舞い始めました。雪!
オーストラリアで、しかも夏を迎える直前の季節に雪を見るとは思ってもいなかったので驚きと同時に、どこか胸の奥がじんわりと温かくなるような感激がありました。雪が舞う山の上に立つ自分が不思議で、寒いのが苦手な私ですが、雪を見て思わず歓声を上げてしまいました。
残念ながら、この日は天候が良くなく、頂上からの絶景は厚い雲に隠れて何も見えませんでした。それでもほぼ視界ゼロの白い世界の中で風と雪に包まれる時間は、景色とは別の“自然を感じる体験”として強く心に刻みました。自然が見せる気まぐれも含めて、タスマニアの魅力なのだと改めて感じました。

■ 友人宅で出会ったウサギたちと子ヤギたち
旅の後半、タスマニアに暮らす友人の家を訪ねました。市街地から少し離れた静かな場所で、広々とした庭が印象的でした。庭に足を踏み入れた瞬間、目に入ってきたのは数十匹のウサギたちでした。そして、さらに奥へと進むとをぴょんぴょんと跳ね回る、かわいらしい子ヤギたちの姿が!
こんなにも近くで子ヤギと触れ合うのは初めてで、思わずテンションが上がってしまいました。抱っこしても嫌がらず、むしろ人懐っこく甘えてきます。抱きかかえていると私の髪の毛を食べようとしてくるので、思わず笑ってしまった。子ヤギたちの無邪気さは、心をあっという間に柔らかくしてくれます。
子ヤギたちの名前もとってもユニークです。ココ、モカ、ブラック…。すべてコーヒーにちなんで名付けられているそうです。名前を呼ぶだけで、まるでカフェのメニューを読み上げているような気分になり、なんともかわいらしい表情に癒されました。
タスマニアでは、こうした動物たちと共に暮らす生活や、自然とともに生きる時間が、ごく当たり前の日常として流れています。そして友人お勧めの近くの農場にあるカフェにも立ち寄りました。ホットチョコレートが美味しいと有名らしいので、勿論オーダーしました。ホットチョコレートは、実は日本では一度も飲んだことがないのですが、新しい体験をしてみようと思うのも海外にいるから。のんびりとした景色を見ながら飲む、都会では味わえない贅沢を感じました。
旅に出ると、普段見落としている“自然の声”を聞くことができる。マウンテン・ウェリントンの雪と風、友人宅の動物たちとの触れ合い。それらは決して派手な体験ではないけれど、心に静かに残り続ける。タスマニアという土地が持つ、自然の豊かさと寛大さに触れた旅でした。次回は『KIKIのパン屋さん』をお伝えします。




特派員

  • 藤田 博子
  • 職業書道家

日本の伝統文化である書道を海外に発信し、現地の方々との繋がり、様々な情報を発信していきたいと思います。

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