• 2026.02.19
  • ブログ・リグーリア-バウチャーの国
近年のイタリアでは、用途が限定された給付券(バウチャー)を中心とした多様な経済政策が導入されています。しかしながら、これはさまざまな議論を呼んでおり、特に経済体系や経済成長への効果に対しては賛否が分かれています。
イタリアは、多くの支援策を提供している国のひとつです。対象には、建物のファサードや自転車、母親、さらには孫の面倒を見る祖父母まで含まれています。
この種の政策は、政府などの経済主体が、市民や企業に対して特定の製品やサービスの購入時に割引やバウチャーを提供することで購買力を高め、消費を促進し、経済を活性化させようという取り組みです。
これは、インフレや実質購買力の低下によって家庭や企業の消費が減少する危機的状況において、特定の形態の特典やバウチャーが経済に大きな効果をもたらしうることを示しています。
では、バウチャーは本当に経済の下支えに役立つのでしょうか? さらに、経済成長目標の達成にも効果があるのでしょうか?

イタリアには困窮家庭を支援するためのバウチャー制度がありますが、実際にはあまりうまく機能していません。
残念ながら、この制度は本当に支援を必要とする家庭には行き届かず、不正を働く人が最も得をするようなシステムになっているのが現状です。
多くの人が大小さまざまな規模の事業を営み、1日12時間働いて社会保険料を納め、官僚的手続きに苦しみながらも、支援の対象から外れるほど稼いでしまうことに後ろめたささえ感じているかもしれません。
一方で、課税を極力避けようとしている者たちもいます。子どもが3人いる家庭で、(書類上は)収入ゼロ、(領収書のない)巨額の支出、そしてこうした状況を見過ごすようなイタリア税務支援センター。こうして「取引」が成立してしまうのです。
その結果、こうした家庭には乳児用バウチャー、家賃補助バウチャー、公共料金バウチャー、食料品バウチャーが提供され、さらにはこれらの給付を受けるために多くの書類に署名したことによるストレスを緩和するための心療カウンセリングのバウチャーまで支給されます。「彼らは働かないのか」と疑問に思うかも知れませんが、所得報告書(ISEE:等価経済状況指標。イタリアで公的支援や減免を受ける際の指標)の数値が上がるのを避けるために、あえて働かない場合があるのです。
一方で、気の毒な自営業者や正規雇用の労働者たちには、事前入力済みの確定申告書が突きつけられるというのに、給付金だけで生活を賄っている家庭はバウチャーを使って子ども達をプールに連れて行き、外国居住の親戚名義の中古SUVを乗り回し、午後になるとバーで「政府の支援が十分ではない」と愚痴をこぼしています。
憲法には「法はすべての人に対して平等である」と記載されていますが、私たちの国では、法はそれを守る人に適用され、法律を知り尽くして悪用する人には適用されません。
真の福祉は、公平で、適切な判断のもと、管理が行き届いてこそ成り立ちます。
本当に助けが必要な人に救いの手を差し伸べるべきだという点には賛成しますが、困っているふりをしている人たちへの支援は止めるべきです。このような詐欺や窃盗とも呼べる不正行為は防がなければなりません。

ジョン・F・ケネディの言葉に、「国があなたのために何をしてくれのるかを問うのではなく、あなたが国のために何をなすことができるのかを問え」というものがあります。
しかし、イタリアでは多くの人にとってこの言葉が逆になってしまったように思えます。また、新しくイタリアにやってきた移民たちも、あっという間にこの手口を習得してしまったようです。
実に多くの人たちに家賃補助のバウチャーや公共料金バウチャー、プリペイド携帯電話カード、食料品バウチャー、無料の託児所、さらにはかかりつけ医による給付金申請書記入サービスまでもが提供されています。しかも、イタリアに住むための正式かつ有効なビザが発給される前にこれらの特権がすべて与えられるのです。
これらの権利を強引に要求してくる姿勢については、議論の余地があります。
社会的コストは膨大でありながら目に見えにくく、その結果生じる経済的被害は氷山の一角に過ぎません。
真の問題は、文化的価値観の崩壊にあり、その結果として、政府の容認の下で、国家として不正を働く者たちが報われてしまっているのです。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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