エルニーニョ現象が影響なのか、ブラジルでは今年の初めからデング熱が流行っていて、4月現在までデング熱での死者が1000人を超えました。2023年1年間でのデング熱での死者は1079人でした。サンパウロ市衛生局も1月の感染者数が昨年の同じ時期と比較して約1,6倍に増加していることを発表しました。その後も感染者数が増えるばかりです。
デング熱はデングの蚊が媒介するウイルス性感染症で、突然の高熱、関節の痛み、頭痛、発疹などの症状があり死亡率はとても低いのですが、デング出血熱は適切な手当てがなされないと死亡すると言われています。デング熱には特効薬がないため、鎮痛解熱剤(アセトアミノフェン)を使用します。
ブラジルでは、デング熱ワクチンによる予防接種は2015年に国家衛生監督庁(Anvisa)によってSanofi Pasteur社のDengvaxiaが許可され民間のクリニックで接種を受けられるようになりました。2023年の3月に日本の武田製薬のQdengaが承認され、民間クリニックで接種を受けられるようになりましたが、今年の1月よりQdengaは統一医療保健システム(SUS)で無料で予防接種が開始され始めました。まずは10歳から14歳の子供を対象に接種を行っています。
1月20日に武田製薬より寄付された75,7万回分の接種がブラジルに着きました。2月には56,8万回分、そして保健省はさらに520万回分を所得したとのことです。武田製薬はその後132万回分を寄付してくださいました。
蚊の繁殖を防ぐためにタイヤ、空き缶やペットボトル、バケツ、ペットのエサ皿などを外に放置しないこと、植木鉢の水受けには砂を入れる対策をするなど、テレビやネットで多くの国民に呼びかけています。蚊の繁殖の80%は家の敷地内ということなので、庭や植木がある家は念入りにチェックをするのが必要です。保健当局はドローンを使用して蚊の幼虫がいそうな水たまりに薬を散布したり、路地でも殺虫剤を散布したりしています。テレビの取材をみると、市内で放置されたごみが蚊の繁殖の原因にもなっていて、ごみ収集問題もあげられています。毎年のように、3,4月になるとデング熱が流行りますが、今年は1月からデング熱は流行り、一部の州で非常事態を宣言するなど、かなり深刻な状況です。
蚊に刺されないようにするのが一番良い方法なので、なるべく長ズボンに長袖を着る事とですが、まだ熱いブラジルは少々無理があります。外出時には虫よけスプレーまたは虫よけジェルを塗る事を進めています。虫よけ成分のイカリジンが含まれた品が良いということですが、薬局などではそれらの品が直ぐに売れ切れになり、これもまたニュースになりました。インターネットで自家製の虫よけをつくる者もいるようですが、効果と安全性がない事がニュースで取り上げられました。
4月に入ってからでも病院の救急には熱、頭痛、身体のだるさを訴える者で混乱しいるそうです。実際に熱が出ると、インフルエンザ、コロナ、またはデング熱なのかと不安になり、救急に向かう者が多いのでしょう。これから冬に向かっていくブラジルなので、デング熱の感染が減っていくことを祈るばかりです。
- 2024.05.10
- デング熱の感染