• 2024.06.26
  • ブラジル南部の大洪水
ブラジル最南端にあるリオ・グランデ・ド・スル州は4月27日から始まった雨が、5月に入ると集中豪雨にかわり、洪水や土砂災害が発生しました。この州の85%の街が被害にあっています。カシアス・ド・スル市では、5月の雨量は通常131.0mmですが、5月1日に、148mmの雨量を、さらに翌日は192mmを記録しています。州都のポルト・アレグレを流れるグアイバ川は、1941年の大洪水の時に水位が4.76メートルに達しました。今回は1970年に水門が建設されたにも関わらず、グアイバ川の水位は6日間で5.33メートルに達しました。リオ・グランデ・ド・スル州の洪水で157人が死亡、88人が行方不明となっています。7万7000人が避難しており、58万人以上がホームレスの状態です。5月末も6月も雨が降るようで心配です。



洪水の情報が入ってくるなり、5月3日あたりからブラジルの各地でリオ・グランデ・ド・スルを支援するためのキャンペーンが始まりました。飲料水、衣類、マットレス、保存食、個人衛生用品(トイレットペーパー、石鹸、歯ブラシ、紙おむつなど)、そしてペットフードも含まれます。リオ・デ・ジャネイロ、サンパウロとブラジリアの空軍基地、各地の郵便局、学校、大手スーパーマーケットなど、色んな場所で寄付の募集をしています。今だけではありません、数か月先も皆で支援していく必要があると思っています。


先日のテレビのニュースで、洪水で6日間屋根の上で立っていた馬を消防隊員、獣医師と軍がボートで救出しているのを見ました。
泳ぎ続けていた犬を救出した後、人間に抱っこされていながらも、前足を泳いでいるかのようにかき続ける動作をしている様子をテレビで見て辛かったです。牧場が多い土地では、牛たちが歩いているのか、泳いでいるのか、水面から頭しか見えず、安全な場所にいけたのだろうかと心配でした。一人の男の人が救助された後、息子4人を家に置いたままにしているので救助を頼むとボートで家に戻った時に救助隊が知った4人の息子の正体は大型犬4匹でした。毎日流れるニュースは涙が出る話ばかりです。
パラナ州のカスカベル市の刑務所で犬小屋を作成していて、600個をリオ・グランデ・ド・スル州へ寄付する予定です。

一生かけて築き上げた家が水没して全てを失って言葉もない人や、2階建ての家の1階は水没状態で出られず、でも何とか食料だけを2階に運ぶことができて、生活をしている家族もいます。
洪水で橋の上に車を止めたまま、そこから出られず12日間も車内で過ごしている人もいます。
持っていた全ての物を失ったが家族は無事だったので有難い、と喜んでいる人もいます。

洪水の中、避難の呼び掛けに応じない住民もいます。自分の家を盗難から守るためで、留守にすることができないと言っています。

去年の6月から始まったエルニーニョ現象は、ブラジル南部の洪水、アマゾン地域の干ばつ、ブラジル中央部の気温上昇などと様々なトラブルの原因となりましたが、5月末くらいで終わりのようです。

リオ・グランデ・ド・スル州の皆さんの一日も早い再建を願っております。

特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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