• 2024.07.17
  • 建設ラッシュ
コロナ過で閉めてしまったお店がたくさんありました。行きなれていたお店が閉まると、経済的に困ったのだろうと残念に思うばかりでした。「売ります」「貸します」という看板が門や塀にかけられて数か月や1年経っている物件も少なくありません。するとその物件の両隣にもいつぞや「売ります」という看板が掛けられ、しばらくすると、そのあたりの店や家が破壊される作業に移り、そこにはビルが建設されることがわかります。


サンパウロ市内を歩いていると、各地区で住宅ビルやオフィスビルが建設されているのがわかります。2024年に818ものビルが完成される予定で、その98%は住宅ビルです。約15万件のマンションが増えるということです。殆どが100㎡以上の高級マンションです。


有名なパウリスタ大通りの近くに280㎡のマンションが2026年に完成します。そのビルの値段は750万レアル(約150万米ドル)です。勿論ジム、プール、マルチスポーツコート、スパなど全て揃っているようです。そんな高額なマンションには誰が住むのでしょうか。
不動産業者によると、サンパウロ市内で何度も引っ越す人が多いそうです。また、そのような高級マンションを市外や他の州に住む人が購入することもあるそうです。平日はサンパウロ市で仕事をし、週末にはサンパウロ市を離れて自宅に戻る人も少なくありません。
リモートワークをするようになってから、自宅や周囲の環境や生活を前よりも重視する傾向もあって、引っ越しを考える人、引っ越しをした人の事を聞きます。仕事が出来る専用の部屋や、気分転換にベランダで過ごしたかったり、運動ができるジムや公園の近くを選んだりと理由はいろいろでしょう。最近のマンションはそんな住民のニーズも考えて設計しているようです。


新しい住宅ビルの地上階(日本では1階)にはコンビニやレストランが入って住民にも、また近所の人たちにも役立っています。私が住んでいる通りにも新しいオフィスビルが建ちましたが、地上階にはそのビルの受付とその隣にはおしゃれなアイスクリーム屋が開店しました。
建設ラッシュはサンパウロ市の中心街だけではなく、各地区で起きていて、特に地下鉄駅の周辺です。「ここにも新しいビルが!」「ここにあったお店がもうない」などと、激しく地域の雰囲気が変わっています。しかしながら、建設ラッシュに伴う土地の価格の上昇は今後もどうなっていくのかが心配です。
私が住んでいるパウリスタ大通りの近くのパライゾ地区は、市の中心部であるにも関わらず、ビルとビルの間には家があり、店が並んでいたりで、ちょっとのどかな雰囲気があり、気に入っています。しかし去年からいつも見慣れていた建物や店が破壊されていくのを見るのは、やっぱり心苦しいです。新しいビルが建つことで街が近代化していくし、綺麗になっていくのは良いのですが、、、あまりの速さに驚き、戸惑うばかりです。時代についていっていない証拠でしょうか?

特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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