• 2019.04.24
  • プラスチック・プラネット
2050年頃には、世界中の海でプラスチックの量が魚を超えるだろうと言われているのをご存知でしょうか。

数週間前、イタリアのサルディーニャ島の浅瀬に、マッコウクジラの死骸が打ち上げられました。お腹を開くと、既に死んんでいた胎児と、大量のプラスチックが出てきたのです。その量なんと22キロ。

その数週間前には、フィリピンの海岸で、若いオスのクジラが打ち上げられており、その胃の中から40キロ分のプラスチック袋が見つかりました。
このクジラの死因は、脱水と飢えであり、それには胃の中のプラスチックが大きく影響しています。
そして、オスクジラは死ぬ前に吐血をしていた痕跡があったそうで、さぞかし苦しかったのではないかと想像できます。

調べて見ると、それ以前にもクジラなどの死骸からプラスチックが見つかるケースをいくつも発見しました。
実際、プラスチックが海洋のゴミの80%以上を占めているらしく、海洋生物種に壊滅的な影響を及ぼしているのは間違いないようです。プラスチックは分解速度が遅いがため、マイクロプラスチックのような残留物が魚介類に残り、それが人間の食物連鎖に繋がるのですから、これは海で起きているだけでない事は理解きます。



近頃ヨーロッパでは、使い捨てプラスチックの禁止法案が可決されました。この法案の加盟国では、綿棒、ストロー、カトラリーといった一度きりしか使えない製品の禁止を2021年までに施行する考えでいます。なお、新しい法律の下では、タバコ会社はタバコの吸い殻の収集のための費用をまかなう事を要求され、漁具の製造業者も海に残されたプラスチック製の網の回収ために支払わなければならなくなりました。
重要な法案ですが、私は一般の意識を高めることが重要な鍵だと思っています。果たして一般の人々は、プラスチック製品を適切に処理する方法を理解しているでしょうか? 分解されるまでの年数を考えながらプラスチック製品を選んでいるでしょうか? 一人一人の意識が高まり、身の回りを変えて行かない限り、大きな変化は生まれないと思います。



昨日買い物に行くと、棚の商品が以前とは変わってきていることに気づきました。近くのスーパーでは、ストローが紙製になっており、カトラリーは生分解性、皿は紙製以外にもヤシの葉でできたものも並んでいました。
一般の人々に一番身近な流通業が、プラスチック製品を減らす努力をするのは、プラスチック問題改善への賢い近道なのかなと感じました。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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