• 2021.05.19
  • ジュリアーナ失踪事件
今度は、ジュリアーナがやられたか?!
階段の踊り場にビーツジュースをこぼしたような跡があり、そこから点々と赤紫色の雫が続いている。
ジュリアーナの血に間違いない。

この1ヶ月の間に、なんと7羽の鶏が庭から消えた。ジュリアーナもそのうちの1羽だが、血痕から3メートルほど先の藪に大量の羽が散らばっていて、命をかけた戦いが激しいものだったことを物語っている。
大体は、散らばった羽を先に見つけることができるのだが、ジュリアーナのコルク樫色の羽毛は、このあたりの地面に溶け込み、カムフラージュされていた。我が家の初代鶏集団の中でも、ジュリアーナだけがここまで長く生き残ってこられたのは、このおかげだろう。

しかし、こんなにも頻繁に鶏を襲う犯人は、一体何?
犬、猫、鷹、イタチ、狐? 鶏よりも大きく、我々に気付かれずに侵入できるサイズの動物といったら、こんなもんだろうか?

鶏を飼い始めた当初、小屋にいた鶏を運良く為留めた最初の天敵は鷹であった。鷹は賢く、簡単に獲物を得られる場所を確実に記憶し、はるか高いところから人の動きを観察する。この抜け目ないハンターによって、半日のうちにもう一羽殺される。
子供たちと、ラメの入ったプラスチックシートを様々な形に切り取り、そこに小さな鈴をつけたものを枝などに取り付けた。庭の木々は、まるでクリスマスツリーのように華やかになった。更に小屋の上からも策をし、空からの攻撃に備えた。


鷹の記憶から、鶏小屋の存在が消えた頃、更に買いたして増えた二代目集団を庭に放ち、自由に暮らせるようにしてやった。初めはどれも臆病で、なかなか小屋から出ようとしなかったが、一羽だけ型破りな鶏がいた。ルーシーと名付けられたこの自由奔放の鶏は、仲間と群がらず、好奇心旺盛で、人がいる場所に好んで現れ、ついてくる。新しい土地を開拓し、心地良いところに卵を産み落とし、行動範囲を広げていた。


この怖いもの知らずルーシーが、二代目最初に犠牲となった。更に大分経ってから、またやられた。だが、鶏も自然での生活が長いと、木の下に逃げ込むなどの知恵をつけるらしい。三代目集団ができた頃には、そう簡単に肉食獣に餌にされるような事はなくなった。
今では鶏集団は、チョロチョロ庭中を歩きまわり、庭仕事をしている我々の側で、地面を突くまでになった。こうして、鶏のいる生活が当たり前になった頃、今回のように続けて何羽も行方不明になる事件が発生したのだ。今までと明らかに違うのは、死骸が残されていない事。羽は残っていても、身の方は、綺麗さっぱり消えてないのである。
となると、鷹ではない。猫も鶏をくわえて移動は不可能であろう。残されるのは、犬、イタチ、狐。他にあり得るのか?謎は深まるばかり。モモと2人で探偵ごっこが続いている。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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