ワクチン開発中当初は、得体の知れないmRNAタイプに戸惑いがあり、できれば投与されたくないと願ったが、ウィズコロナ・新日常の生活に慣れるにつれ、その思いは薄くなっていった。
まだまだ未来のある若い子供たちが接種することに対しては、未だ不安はあるものの、ワクチンの副作用が数年後起きたとしても、老婆になっている私はそれを素直に受け止められると思う。
早い話が、自分の置かれた今の状況を考えると、コロナワクチンを注射されることへの抵抗はなくなっていた。
ワクチン接種予約はいたって簡単なプロセスで、保健所のサイトで自分の保険番号を入力する。
すると数日後にスマホにSMS(メッセージ)が送られてくる。そこには日時、そして「保健所番号.SIM(はい)かNÃO(いいえ)」を送り返すように指示されていた。
SIM(はい)を返信した場合は、メッセージで来た日時にワクチン接種会場に出向くだけである。
予約時間は、分おきに設定されていて、要するにそれが当日の整理券の役割をしているのだ。 例えば、私の時間が10:10だとしたら、「10〜!」と呼ばれたら中に入る。主人のが10:15だとしたら、主人と私の間には、別の人が4人いることになる。
さて、会場で自分の番号/時間が呼ばれ中に入ると、アンケートが渡され、それに持病などの情報を記入する。この記入用のテーブルは立ち飲みバーのテーブルになっていて、そこを離れるとすぐに清掃係りが次の人の為に消毒にくる。次に注射の順番を待つのだが、待っている間の椅子はきちんと距離が保たれており、席を立つとすかさず清掃係りが、その椅子を消毒。誰かが動けば、そこを清掃係りが小走りでやってきて消毒、このメカニカルな動きがまるでゲームのようで、面白い。
自分の番がやってくる。すると今度は看護師のような人が2人体制でいる小部屋に通される。そこで、1人は先ほど記入し終えたアンケート情報の確認とパソコンでコロナワクチンの接種情報を入力する。それから、ワクチンの種類は何か、2回目のワクチンの時はいつ頃で、何をするか等の説明をしてくれる。
別の看護師は、私の利き手を確認し、その逆の腕に注射する準備をする。熱っぽくなったら、なんの薬を飲むべきか、腫れたら冷やす・・・などの説明をし、あれよあれよと注射が終わっている。
今度は、待機エリアに通され、そこで30分待機するように説明を受ける。体育館であることのホールの中央には、巨大なデジタル時計が用意されていて、そこで各自時間を確認できるようになっているのである。
何かあった場合は、中央にある個室にドクターが待機していて、その部屋に(場合によっては担架のようなベッドで)運ばれるシステムになっている。
ワクチン接種が始まった当初は、30分の待機中にビスケットのような軽食とミネラルウォーターなどのランチボックスが配られたようだが、40代の接種時には、出口の方に設置されたテーブルに軽食や水が置かれているシステムになっていた。必要であれば、自分たちで取りに行く。正直それで十分だと思う。
こうして、淡々と思った以上にシンプルなプロセスで初のワクチン接種を体験することとなった。
つづく・・・。