日本語では、「無原罪の御宿り(むげんざいのおんやどり)」というみたいです。
この日は、「キリストを生んだマリア様は、神の特別な計らいにより、アダムとイブより受け継がれた原罪、その汚れを一切受けることなく、その母であるアンナ様の胎内に宿った」とする日です。
要するに、神(キリスト)を生んだマリア様は、最も神聖で純粋な母であることを意味し、マリア様のお母様がご懐妊した日ということになります。よって、この日は、マリア様御誕生の丁度9ヶ月前になります。
このマリア様は、Nossa Senhora de Conceição(御宿りの聖母)と言い、ポルトガルの守護聖人でもあります。
ヨーロッパ17世紀の美術作品に多く残っており、頭の上の星、足元の月が描かれている女性の宗教画を美術館や教会で見かけましたら、Nossa Senhora de Conceiçãoで間違いないでしょう。この共通点として描かれている内容は、新約聖書における最後の書「ヨハネの黙示録」の一節に関わっています。
「天に大きなしるしが現れた。一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた」(黙示録12・1)
彫刻の修復で、Nossa Senhora de Conceiçãoの彫刻を見ることもありますが、ポルトガルの教会に置かれているものの多くは、上の特徴以外に、雲の上に乗っていたり、雲に子供の顔が埋もれていたりします。
ムリーリョ
ティエポロ
ルーベンス
ベラスケス
エル・グレコ
ポルトガルでは以前、12月8日は、「母の日」でもありました。しかし、12月8日をポルトガルの守護聖人である聖母のみに結びつけるために、母の日を別の日に変更するよう、司教からの要求があったそうです。現在におけるポルトガルの母の日は、マリア様の月である5月の最初の日曜日に設定されています。それでも、未だに12月8日を本来の「母の日」だと考える人もいるようです。
また、12月8日は、クリスマスシーズンのスタートでもあります。この日を境に本格的にクリスマスが始まり、巨大なツリーや、カラフルなイルミネーションがポルトガル全土の各街角を鮮やかに彩ります。クリスマスマーケットや、ショッピングセンターのセールも始まり、クリスマスの贈り物の買い物客で賑わいます。
今年は、ウクライナ戦争によってもたらされたエネルギー危機により、全ての国が日常的に使用する光をできる限り節約する必要があります。
ただし、リスボンのクリスマスライトの点灯は、常にクリスマスシーズンのハイライトの一つであり、その伝統を維持すべく、クリスマスイルミネーションが点灯する時間を短くしたり、ライトの動作を制限したり、また今年用意された20万個以上のライトは全てLED技術を使用した、低消費電球でライトアップされます。街は、1100の照明設備、また合計214kmを超える照明コードによって照らされるそうです。
今年もコメルシオ広場には巨大なクリスマスツリーが置かれ、通りの頭上には雪の結晶ライトデコレーション、大広場には巨大クリスマスオーナメントなどが設営され、リスボンを歩く人々を魔法の世界へと導いています。