今年のクリスマスは、Bolo Rei(ボーロ・レイ)の価格が昨年よりもさらに値上がりするらしい。Bolo Reiとは、ポルトガルのクリスマス伝統ケーキであり、クリスマス近くなると、ペイストリーやパン屋以外でも、カフェの店頭にも出回るケーキです。
カカオ、バター、砂糖の価格の上昇がポルトガルのペストリーの価格に大きな影響を与えていて、クリスマスが近づくと菓子メーカーは価格を再調整する必要がある。Bolo Reiで有名なある老舗お菓子メーカーは、昨年は価格を値上げせずに販売したが、今年はまだ未定とのこと。ただし、Bolo Reiに必須のレーズンの一種が、昨年1キロ2ユーロだったのが、現在5ユーロとのこと。原材料価格が上昇すれば、本体の値段も押し上げる必要が出てくるのは仕方ないのだろう。
コロナ感染症、各地での戦争と続き、商品の価格高騰が著しい。ポルトガルは、ヨーロッパの中でも比較的経済的な場所であったのが、今ではスペインやイタリア、フランス、ドイツなどと肩を並べるほどである。確かに首都など主要な町で比較すると、まだ多少安いのかもしれないが、こちらにずっと住んでいる人から見たら、倍も違うので、恐ろしくなる。ポルトガルの最低、平均賃金は上昇傾向にはあるが、明らかに物価高騰には見合わない額である。
私も、今までと変わらない内容で埋めたショッピングカートをレジに運び、支払いの時に驚くことがある。今では、じっくり金額を確認し、本当に必要なのかを考えて購入するようになった。ある意味、無駄が出ないので良いのかもしれないが。
コストアップのことで言えば、もう一つある。それはポルトガルの物件。
今、住宅価格は世界中で上昇中のようだが、ポルトガルは、なんとトップ20入りである。
あるデータによると、ポルトガルの販売住宅価格は世界よりも速いペースで上昇しており、ポルトガルは住宅価格の上昇率が最も高い国のトップ20にランクインし、シンガポール、ブラジル、スペイン、日本、米国などの国を上回り、16位となっている。
住宅費の大幅な上昇は、人口増加と住宅需要を反映しているそうだが、ポルトガルの場合、特に海外からの移住者の増加が関係していると思う。15年ほど前から、ヨーロッパからの移住者がどんどんと増え続け、ここ数年の間にアメリカ人が急激に増えた。
さらに言えば、ポルトガルは、2024年に最も多くの億万長者を引き付けると予測される世界トップ10の国にランクされているという記事があった。(https://www.henleyglobal.com/publications/henley-private-wealth-migration-report-2024/top-10-country-inflows)ポルトガルには過去10年間、ヨーロッパ本土、英国、ブラジル、南アフリカ、中国、トルコ、米国からの富裕層の大規模な流入があり、ポルトガルは今後1年間、引き続き多くの億万長者を引き付けると予想されているらしい。データによると、ポルトガルは上位10カ国リストの9位にランクされ、2024年には800人以上の億万長者が流れてくるらしい。
ジェフ・ベソスやアメリカンセレブがポルトガルのリゾートで夏の休日を楽しみに来るというだけでなく、今ではマドンナやスカーレット・ヨハンソン、ニコール・キッドマン、他名だたるセレブが物件購入している。最近では、ロイヤルカップルのハリー王子とメーガンも722エーカーの豪邸を手に入れたそうだ。ご近所さんは、既に1年の半分をポルトガルで過ごしている、ハリー王子の従姉妹、プリンセス・ユージェニーとのこと。
億万長者を引き付けるのは、ポルトガルの太陽とのこと。太陽は全ての人に平等にあるが、億万長者対象に、リスボンで高級クラブやレストランが増え、物価に影響し始めたら、貧しいポルトガル人には本当に気の毒である。
- 2024.12.12
- 億万長者たちを魅了するポルトガル